日商簿記2級 | 公開:2026年5月9日 | 更新日:2026年8月25日
直接原価計算とは?
CVP分析・損益分岐点を解説【簿記2級】
著者:若葉(関西の大学3回生・ITパスポート・基本情報技術者学習中/簿記1級は中断中)
直接原価計算は、製品原価を変動費中心に見て、固定費を期間費用として扱う原価計算です。簿記2級では、全部原価計算との違いだけでなく、貢献利益・CVP分析・損益分岐点の計算までつながります。
受験生
全部原価計算と直接原価計算、名前が似ていて何が違うのか正直よくわかっていません……固定費をどっちに入れるかで利益まで変わるって聞いて、余計に混乱しています。
若葉(IT資格学習中)
わかります、私も最初はそこで固まりました(笑)。ポイントは1つだけ、「固定製造間接費を製品の原価に乗せるかどうか」です。全部原価計算は乗せる、直接原価計算は乗せずにその期の費用として一気に処理する。これだけです。
受験生
なるほど…でも、なんでわざわざ直接原価計算という別の計算方法が必要なんですか?
若葉(IT資格学習中)
「あといくつ売れば黒字か」を知りたいときに強いからです。売上から変動費だけを引いた貢献利益さえ出せば、そのままCVP分析につながります。財務諸表を作るのが全部原価計算、経営判断に使うのが直接原価計算、と役割で覚えると整理しやすいですよ。
先に結論:直接原価計算は「売上から変動費を引いて、固定費を回収できるか」を見る方法です。利益計画に強く、CVP分析の土台になります。
直接原価計算とは
図:全部原価計算 vs 直接原価計算——貢献利益の見え方の違い
固定製造費を製品原価に含めるか・期間費用にするかが、2つの計算方法の分かれ目です。
直接原価計算とは、製造原価を変動費と固定費に分け、製品原価には変動製造原価だけを含める方法です。固定製造間接費は、製品に含めず、その期間の費用として処理します。
全部原価計算が「製品1個あたりの原価をきっちり計算する」考え方だとすると、直接原価計算は「売上が増えたとき利益がどう動くか」を見るための考え方です。
全部原価計算との違い
| 項目 | 全部原価計算 | 直接原価計算 |
| 製品原価に含めるもの | 変動製造原価と固定製造原価 | 変動製造原価だけ |
| 固定製造間接費 | 製品に配賦する | 期間費用として処理する |
| 重視する目的 | 財務諸表作成・製品原価計算 | 利益計画・意思決定 |
簿記2級では、両者の利益差が問われることがあります。固定製造間接費が製品在庫に残るか、当期費用になるかが違いの中心です。
変動費と固定費
直接原価計算では、費用を変動費と固定費に分けます。ここが見えないと、貢献利益や損益分岐点が一気にわからなくなります。
| 分類 | 意味 | 例 |
| 変動費 | 生産量や販売量に応じて増減する費用 | 直接材料費、変動加工費、販売手数料 |
| 固定費 | 生産量や販売量が変わっても一定額発生する費用 | 工場家賃、減価償却費、管理部門の人件費 |
注意:「直接原価計算」という名前ですが、直接費だけを集めるという意味ではありません。変動費と固定費に分ける論点です。
貢献利益とは
貢献利益とは、売上高から変動費を引いた利益です。固定費を回収し、最終的な営業利益を出すためにどれだけ貢献しているかを表します。
貢献利益 = 売上高 - 変動費
営業利益 = 貢献利益 - 固定費
たとえば売上高が1,000,000円、変動費が600,000円、固定費が250,000円なら、貢献利益は400,000円、営業利益は150,000円です。
CVP分析とは
CVP分析とは、Cost(原価)・Volume(販売量)・Profit(利益)の関係を見る分析です。売上がどれくらい必要か、何個売れば赤字を抜けるかを考えるときに使います。
簿記2級では、損益分岐点売上高・安全余裕率・目標利益を達成する売上高などがよく出ます。
損益分岐点売上高
損益分岐点とは、利益がちょうど0になる売上高です。つまり、貢献利益で固定費をちょうど回収できる地点です。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 貢献利益率
貢献利益率 = 貢献利益 ÷ 売上高
固定費が300,000円、貢献利益率が40%なら、損益分岐点売上高は750,000円です。
損益分岐点や安全余裕率の計算を詳しく押さえるなら、次にCVP分析とはを確認しましょう。
例題で確認
売上高1,200,000円、変動費720,000円、固定費360,000円の場合を考えます。
貢献利益:1,200,000円 - 720,000円 = 480,000円
貢献利益率:480,000円 ÷ 1,200,000円 = 40%
営業利益:480,000円 - 360,000円 = 120,000円
損益分岐点売上高:360,000円 ÷ 40% = 900,000円
この会社は900,000円売れば赤字を抜け、1,200,000円売ると120,000円の利益が出ます。
よくあるミス
- 直接原価計算を「直接費だけの計算」と誤解する
- 固定製造間接費を製品原価に含めてしまう
- 貢献利益と営業利益を混同する
- 貢献利益率を「貢献利益 ÷ 売上高」ではなく、変動費率と混ぜてしまう
- 損益分岐点売上高で、固定費を貢献利益率ではなく利益額で割ってしまう
まとめ
- 直接原価計算は、製品原価に変動製造原価だけを含める方法
- 固定製造間接費は期間費用として処理する
- 貢献利益は売上高から変動費を引いた利益
- CVP分析では、原価・販売量・利益の関係を見る
- 損益分岐点売上高は、固定費を貢献利益率で割って求める
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