日商簿記2級 | 公開:2026年5月9日 | 更新:2026年7月2日

【簿記2級】純資産・剰余金の配当を完全解説
資本金・準備金・自己株式の仕訳例つき

著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)

大谷
大谷 一輝 より

こんにちは、大谷です!実は「純資産」の勉強を始めたとき、僕が本当につまずいたのは計算そのものより「言葉の壁」でした。「資本準備金」と「利益準備金」、漢字も響きも似すぎていて最初の1週間はずっとごちゃ混ぜ。極めつけは「自己株式」という名前を見て「資産の一種でしょ?」と思い込み、盛大に借方へ書いて派手に爆死したこともあります(笑)。名前だけでは正体がつかめない科目が並ぶ単元だからこそ、今回は「言葉の意味」より「どのグループに属するか」で整理できる図解を用意しました。当時の僕と同じ場所でつまずいている人に、一番刺さる解説を届けます!

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この記事でわかること(5秒まとめ)

純資産(じゅんしさん)は簿記2級の第3問・第4問で必ずといっていいほど登場します。「資本金と資本準備金の違いは?」「配当のとき繰越利益剰余金からなぜ110,000円も減るの?」——そんな疑問をこの記事で図解つきで完全に解決します。

受験生
受験生
純資産の科目が多すぎて、どれがどのグループか全然整理できていません。しかも配当の問題になると「1/10」とか「1/4ルール」とか、上限まで絡んできて、もう何を計算すればいいのかわからなくなります…
大谷
大谷(簿記1級勉強中)
わかります、僕もそこで一度盛大に爆死しました(笑)。でも準備金ルールは、実は「配当のたびに、資本金の1/4という貯金箱がいっぱいになるまで、配当額の1/10を積み立てなさい」というシンプルな1本のルールだけなんです。だから電卓を叩く前に、①上限額(資本金×1/4)②今の準備金合計③配当の1/10——この3つの数字を計算用紙に先に書き出してしまいましょう。
受験生
受験生
3つ書き出して、あとは比べるだけ…!それなら計算の途中で迷わなくなりそうです。
大谷
大谷(簿記1級勉強中)
そのとおりです!残り枠(上限−現在の合計)と配当の1/10を見比べて、小さい方を積み立てるだけ。この「比べて小さい方を選ぶ」という一手だけ覚えれば、1/4ルールはもう怖くありません。図解を見ながら、一緒に純資産の全体像から確認していきましょう!

🗺️ 純資産とは——B/Sの「右下」に隠れた2つのグループ

純資産(じゅんしさん)とは、資産から負債を引いた、会社の正味(しょうみ)の財産です。貸借対照表(B/S)の右側の下半分に書かれます。まず次の図解で、純資産全体の構造を一気に把握してください。

純資産の構造(株主資本・評価換算差額等)と配当の仕訳
図:B/S右下の純資産——株主資本4区分と評価換算差額等、配当仕訳の全体像

株主資本は「資本金・資本準備金・利益準備金・繰越利益剰余金」の4層構造。配当時は繰越利益剰余金から支払い、利益準備金を積み立てます。

① 図解の「2色のエリア」の読み方

図の上半分には青いエリア(株主からの元手〔もとで〕)オレンジのエリア(会社が稼いだ利益)の2つのグループが描かれています。これが純資産を理解する一番の鍵です。

🔵 株主からの元手(もとで)
資本金(しほんきん)
Capital Stock
株主が出資した元手そのもの。株式を発行したときに積み立てる。
資本準備金(しほんじゅんびきん)
Capital Reserve
出資のうち資本金にしなかった余剰分などを積み立てたもの。
🟠 会社が稼いだ利益(りえき)
利益準備金(りえきじゅんびきん)
Legal Retained Earnings
配当するたびに法律で義務付けられた積み立て。社内留保の貯金箱。
繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)
Retained Earnings
毎期の純利益を積み重ねたもの。配当の「大元のサイフ」。
覚え方:「元手(もとで)か、稼ぎ(かせぎ)か」で判断する
資本金・資本準備金は株主が最初から持ち込んだお金なので「元手グループ」。 利益準備金・繰越利益剰余金は会社が事業で稼いだお金なので「稼ぎグループ」。 この2分類さえ頭に入れておけば、試験で科目を取り違えるミスが激減します。

② 自己株式(じこかぶしき)は「△マイナス」の特別な項目

図解の下部にピンク色で描かれている「△マイナス△ 自己株式(じこかぶしき)」に注目してください。

△ マイナス
自己株式は純資産から引き算される控除項目(こうじょこうもく)です。
会社が自社の株式を買い戻すと、お金が社外に出ていくため、純資産が減ります。 試験では「資産だと思って借方に書いてしまう」ミスが頻出ですが、 自己株式の仕訳は純資産(貸借対照表の純資産の部)のマイナスとして処理します。
図解の計算式「純資産 = 資本金+資本準備金+利益準備金+繰越利益剰余金 △自己株式」の通り、 最後に引き算することを忘れないでください。

③ 純資産の4科目まとめ表

科目名グループひとことメモ
資本金(しほんきん)株主の元手株主が出資した会社の基礎資金
資本準備金(しほんじゅんびきん)株主の元手株式発行額のうち資本金にしない部分
利益準備金(りえきじゅんびきん)会社の利益法律で強制積み立て。配当のたびに増える
繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)会社の利益配当の源泉(げんせん)。毎期の純利益を積み重ねる
自己株式(じこかぶしき)純資産のマイナス△控除項目。資産ではない点に注意

📈 株式発行の仕訳——資本金と資本準備金に分ける

会社が株式を発行して資金を集めるとき、集めたお金を資本金と資本準備金に分けて記録します。会社法では、払込金額の最低2分の1以上を資本金にすることが義務付けられており、残りは資本準備金にできます。

例題

株式を1株あたり1,000円で1,000株発行し、全額が当座預金に振り込まれた。払込金額の2分の1を資本金とし、残りを資本準備金とする。

払込総額 = 1,000円 × 1,000株 = 1,000,000円。その半分500,000円が資本金、残り500,000円が資本準備金です。

仕訳
当座預金1,000,000 / 資本金500,000
資本準備金500,000
「資本準備金は資本金の余り物」ではない
資本準備金も立派な純資産の一部です。将来の株式の消却(しょうきゃく)や欠損填補(けっそんてんぽ)などに使える、会社の「緊急用の財源」としての役割があります。

💰 剰余金の配当——「110,000円の内訳」を図解で理解する

配当の仕訳は、図解の下半分「お金の流れ図」を頭に入れておくと、なぜ110,000円という金額になるのかが一瞬で理解できます。

配当のお金の流れ(図解と連動)

剰余金の配当と積み立ての流れ
【出発点】繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)
例:110,000円
↓ ここから2つに分かれる
矢印① 未払配当金(みはらいはいとうきん)
株主へ配る分
100,000円
株主に現金で支払われる
矢印② 利益準備金(りえきじゅんびきん)
法律で義務付けられた貯金
10,000円
配当の1/10を積み立て
合計確認:未払配当金100,000円 + 利益準備金10,000円 = 繰越利益剰余金の減少 110,000円

つまり、株主に配る100,000円(未払配当金)の10分の1である10,000円を、利益準備金という名前の「法律で決められた貯金箱」に移すことが法律で義務付けられています。だから、大元のサイフ(繰越利益剰余金)からは合計110,000円が減ることになります。

この「10分の1ルール」が、仕訳の数字の根拠です。

例題

株主総会で繰越利益剰余金から100,000円の配当を決議した。利益準備金の積み立て額は配当金の1/10とする。

仕訳
繰越利益剰余金110,000 / 未払配当金100,000
利益準備金10,000
仕訳の3つの数字の根拠
① 未払配当金 100,000 → 株主に渡す配当金そのもの
② 利益準備金 10,000 → 配当の1/10(100,000 ÷ 10 = 10,000)
③ 繰越利益剰余金 110,000 → ①+②の合計(大元のサイフから出ていく合計額)

1/4ルール——試験で絶対に忘れてはいけない上限

図解の最下部に書かれている「ポイント:資本準備金+利益準備金が資本金の1/4に達するまで」というルールがあります。

簿記2級本番では、この上限チェックが超重要!
試験問題では「利益準備金の積立上限まで残り〇〇円」という条件が付くことがあります。 そのとき積立額は「配当の1/10」と「上限までの残額」のいずれか小さい方になります。 「1/4ルール」は頭の片隅に置いておきましょう——本番で必ず点差が出るポイントです!
🖩 実戦テク:電卓での計算手順+計算用紙の活用ハック
本番でパニックにならないよう、電卓を叩く順番を固定しておきましょう。
① 上限額を出す:資本金 ×「25(%)」または「0.25」を掛けて、資本金の1/4(上限額)を先に計算する。
② 現在の準備金合計を出す:資本準備金+利益準備金の残高を電卓に足し込み、「今どこまで積み立て済みか」を確認する。
③ 残り枠を出す:①(上限額)-②(現在の準備金合計)=「あと積み立てられる枠」。
④ 配当の1/10と比較:配当金 ÷ 10 の金額と③「残り枠」を見比べ、小さい方を利益準備金の積立額として採用する。
計算用紙には、問題を読んだ直後に「上限= / 残り枠= / 配当1/10=」の3つの空欄を先に書き出しておくのがコツ。数字を埋めていくだけで判断ミスがなくなり、電卓の叩き直しも防げます。

⚠️ よくあるミス(実戦版)——ここで合否が分かれる

📋 まとめ——試験前に確認するチェックリスト

純資産の重要ポイント

純資産の2グループ 元手(資本金・資本準備金)と利益(利益準備金・繰越利益剰余金)
自己株式の処理 純資産から△控除。資産ではない
配当の仕訳の根拠 配当金の1/10 = 利益準備金。合計が繰越利益剰余金の減少額
1/4ルール 資本準備金+利益準備金が資本金の1/4に達するまで積立義務あり
株式発行の仕訳 払込金額の1/2以上が資本金、残りが資本準備金

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配当の1/10計算・自己株式・上限ルールの問題を繰り返し解いて身体で覚えましょう。

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💬 よくある質問

純資産の部に含まれるものは何ですか?

簿記2級の試験範囲では、資本金・資本準備金(株主の元手グループ)と利益準備金・繰越利益剰余金(会社の利益グループ)が主な科目です。そのほか自己株式(純資産のマイナス項目)も頻出です。資産から負債を差し引いた残りが純資産で、貸借対照表の右下に記載されます。

自己株式は資産ですか?純資産ですか?

自己株式(じこかぶしき)は純資産のマイナス(控除項目)として計上します。資産ではありません。会社が自社の株式を買い戻すとお金が社外に流出するため、純資産が減る形で処理されます。B/Sの純資産の部の末尾に「△自己株式」として記載されます。

利益準備金の積み立て額はどう計算しますか?

原則として配当金の10分の1(1/10)が積立義務額です。ただし、資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1(1/4)に達した場合はそれ以上の積み立ては不要です。試験では「上限まで残り〇〇円」という条件が付くことが多く、「配当の1/10」と「上限残額」のいずれか小さい方が積立額になります。

その他有価証券評価差額金とは何ですか?

その他有価証券を時価評価したときの評価差額を、損益計算書(P/L)を通さずに純資産へ直接計上したものです。これを「純資産直入法(じゅんしさんちょくにゅうほう)」といいます。プラスの評価差額なら純資産が増加、マイナスなら純資産が減少します。税効果会計(ぜいこうかかいけい)と組み合わせて出題されることが多い論点です。