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日商簿記3級 | 公開:2026年5月7日
経過勘定(前払・未払・前受・未収)
たった2パターンで完全攻略
著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)
こんにちは、大谷です!
実は、今回紹介する決算整理の最難関『経過勘定(前払・未払・前受・未収)』ですが、僕が大学の講義で初めて習ったとき……「名前が似すぎててどれが資産でどれが負債か分からん!漢字だらけで意味不明……うわっ、なんじゃこりゃ!!」と頭が完全にフリーズした大嫌いな論点でした(笑)。
だからこそ、当時の僕と同じように文字の迷路でパニックになっている皆さんに、丸暗記を一切排除して【たった2つのパターン】で機械的に仕訳を解くステップをお届けします!
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まず「発生主義」の大原則を理解する
経過勘定を理解するには、簿記の重要な大原則を知る必要があります。
📌 発生主義の大原則
費用・収益は「当期に発生した分だけ」当期に計上する
たとえば12か月分の利息を一度に現金で払っても、当期は8か月分しか経過していなければ、費用として計上できるのは8か月分だけ。残り4か月分は「まだ発生していない」ので当期の費用から除く必要があります。これが決算整理仕訳の目的です。
経過勘定は2パターンに整理する
図解の赤い縦線が決算日です。費用・収益の「発生タイミング」と「お金の受け渡しタイミング」がこの縦線をまたいでズレるとき、4パターンのうちどれかを使います。前払・未払は費用側、前受・未収は収益側——まずこの位置関係を図で確認してください。
パターンA
お金を先に払った・受け取った
翌期分(まだ発生していない分)を取り消す
→ 前払費用・前受収益
パターンB
お金をまだ払っていない・受け取っていない
当期分(すでに発生した分)を追加計上する
→ 未払費用・未収収益
教科書用語との対応:パターンA=「繰延(くりのべ)」、パターンB=「見越し(みこし)」
問題集やテキストでは、パターンAを「繰延処理」、パターンBを「見越処理」と呼ぶこともあります。繰延=すでに動いたお金のうち、まだ発生していない分を翌期に繰り延べる。見越し=まだお金は動いていないが、当期分をあらかじめ見越して計上する。呼び方が違うだけで、考え方はこの記事のパターンA・パターンBと完全に同じです。
4つの勘定科目まとめ
前払費用
資産
先払いした費用のうち、翌期分。例:前払利息・前払保険料
未払費用
負債
当期に発生したがまだ払っていない費用。例:未払利息・未払家賃
前受収益
負債
先に受け取った収益のうち、翌期分。例:前受利息・前受家賃
未収収益
資産
当期に発生したがまだ受け取っていない収益。例:未収利息・未収手数料
資産・負債は覚えなくていい!
前払費用が「資産」かどうか暗記する必要はありません。「支払利息(費用)の反対側に来る勘定」と覚えれば自然と貸方に来ます。勘定科目名より「どっちのパターンか」を判断するほうが大切です。
パターンA:前払利息の解き方(3ステップ)
例題
5月1日に借入金¥1,000、年利率12%で借り入れた。向こう1年分の利息を現金で支払った。当期は1月1日〜12月31日。
当期(1月〜12月)のうち、利息の対象期間
当期分 8か月(5〜12月)¥80
翌期分 4か月(1〜4月)¥40
当期の費用として計上する
翌期分 → 取り消す(前払利息)
1
支払い時:12か月分全額を「支払利息」に計上
払ったときは全額費用でOK。あとで決算整理で調整する。
2
決算整理:翌期分を「前払利息」に振り替える
翌期4か月分を支払利息から取り消す。支払利息が減るので右(貸方)へ。
3
翌期首(再振替仕訳):決算整理の逆仕訳
翌期分の利息を当期の費用に戻す。前期末と逆の仕訳をするだけ。
▶ ①支払い時(5月1日)
📐 利息の計算
年利息
1,000 × 12% =
¥120
1か月分
120 ÷ 12か月 =
¥10
⚠3級試験で最も不合格者を出す罠(月数のカウントミス):
例題で「5月1日」に1年分を払ったとありますが、ここを「えーっと、12-5だから7ヶ月かな?」と引き算して数えるのは絶対にNGです!
5月1日に払ったということは、5月という月を【丸々1ヶ月間】使っているため、5月も含めて「5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12」と指を折って【8ヶ月】と数えなければいけません。
問題文の日付が「1日」なのか「月末」なのかで月数が1ヶ月ズレて計算が全滅するので、日付は絶対に最初に見破りましょう!
▶ ②決算整理仕訳(12月31日)
📐 翌期分の計算
翌期分(1〜4月)
4か月 × ¥10 =
¥40
▶ ③期首再振替仕訳(翌年1月1日)
再振替仕訳は「決算整理の逆」をするだけ!
難しく考えず、②の仕訳の借方・貸方を入れ替えるだけです。理由は「翌期首にリセットして、翌期分の費用を正しく計上できるようにするため」です。
パターンB:未払利息の解き方(2ステップ)
例題
7月1日に借入金¥1,000、年利率6%で借り入れた。決算整理で利息の未払分を計上する。当期は1月1日〜12月31日。
当期(1月〜12月)のうち、利息の対象期間
当期分 6か月(7〜12月)¥30 → まだ払っていない
当期に発生 → 未払利息として追加計上
1
決算整理:当期分を「未払利息」で追加計上
まだ払っていないが当期に発生した分を費用として計上。支払利息が増えるので左(借方)へ。
2
翌期首(再振替仕訳):決算整理の逆仕訳
翌期に実際に支払うときと相殺するためにリセットする。
▶ ①決算整理仕訳(12月31日)
📐 未払利息の計算
年利息
1,000 × 6% =
¥60
1か月分
60 ÷ 12か月 =
¥5
当期分(7〜12月)
6か月 × ¥5 =
¥30
▶ ②期首再振替仕訳(翌年1月1日)
家賃・手数料も勘定名が違うだけで解き方は同じ!
未払家賃・未収手数料・前受家賃など、勘定科目名が変わっても「パターンAかB」を判断して同じ手順で仕訳するだけ。利息で手順を覚えれば全部対応できます。
パターンA(応用):前受収益の例題
家賃を先にまとめて受け取ったが、次期分が含まれる場合は前受収益(負債)として振り替えます。
例題
11月1日に店舗の家賃6か月分 ¥6,000 を現金で受け取った。当期は4月1日〜3月31日(3月末決算)。
家賃の対象期間(11月〜翌4月)と当期の区切り
当期分 4か月(11〜2月)¥4,000
翌期分 2か月(3・4月)¥2,000
当期の収益として計上する
翌期分 → 取り消す(前受家賃)
▶ ①受取時(11月1日)
▶ ②決算整理仕訳(3月31日)
📐 翌期分の計算
1か月分
6,000 ÷ 6か月 =
¥1,000
翌期分(3・4月)
2か月 × ¥1,000 =
¥2,000 → 取り消す
▶ ③期首再振替仕訳(翌年4月1日)
前受収益は「返す義務がある→負債」!
次期のサービス(部屋を貸すこと)をまだ提供していないので、もし解約になれば返金しなければなりません。だから負債として計上します。前払費用(資産)と対称の関係を覚えましょう。
パターンB(応用):未収収益の例題
お金はまだ受け取っていないが、当期分の収益が発生している場合は未収収益(資産)で追加計上します。
例題
10月1日に ¥10,000 を年利4%で貸し付けた。利息は翌年9月末に1年分をまとめて受け取る。当期は4月1日〜3月31日(3月末決算)。
▶ ①決算整理仕訳(3月31日)
📐 当期分(10月〜3月:6か月)の利息計算
年利息
10,000 × 4% =
¥400
1か月分
400 ÷ 12か月 =
約¥33
当期分(10〜3月)
6か月分 × ¥33 ≈
¥200(問題文の指定値を使う)
▶ ②期首再振替仕訳(翌年4月1日)
▶ ③翌年9月30日(実際に1年分受取)
再振替仕訳後は未収利息が復活しているため、9月末の受取時は「未収利息(前期分)」と「受取利息(翌期分)」に分けて処理します。
未収収益は「受け取る権利がある → 資産」!
貸し付けている期間中は日々利息が発生しています。まだ現金は動いていませんが、受け取る権利が確定しているので資産として計上します。未払費用(負債)と対称の関係です。
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📋 まとめ:経過勘定 2パターン対応表
先に払った → 翌期分を取り消す
前払費用(借方)/ 費用勘定(貸方)
先に受け取った → 翌期分を取り消す
収益勘定(借方)/ 前受収益(貸方)
まだ払っていない → 当期分を追加
費用勘定(借方)/ 未払費用(貸方)
まだ受け取っていない → 当期分を追加
未収収益(借方)/ 収益勘定(貸方)
再振替仕訳(翌期首)
決算整理仕訳の借方・貸方を逆にするだけ
この記事が少しでも参考になったら……
経過勘定は、4つの勘定科目を丸暗記するのではなく、「先にお金が動いたか、まだ動いていないか」というたった2パターンの仕組みで判断できれば、簿記3級では確実な得点源になります。
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