日商簿記3級 | 公開:2026年5月7日 | 更新日:2026年7月8日
商品売買の仕訳(三分法)
仕入・売上・繰越商品を図解で完全解説
著者:若葉(関西の大学3回生・日商簿記1級勉強中)
この記事でわかること(5秒まとめ)
- 三分法は「仕入・売上・繰越商品」の3勘定で商品売買を記録する——売ったときに利益を直接計算しないのがポイント
- 仕入は借方・売上は貸方——常にこの方向で記録する(反対にはならない)
- 売上原価は決算整理でまとめて計算——「しくりくりし」の仕訳が出来ればOK
- 返品・仕入諸掛り・分記法との違いまで押さえれば試験対策は完璧
こんにちは、若葉です!初めて「三分法」を習ったとき、私は本気で「なんじゃこりゃ……!」となりました。だって、商品を売ったその瞬間に儲けを計算しないんですよ?仕入は費用として記録するだけ、売上は収益として記録するだけ。利益はどこにも出てこない。おまけに決算になったら「しくりくりし」なんて謎の呪文まで飛び出してきて、頭が完全に置いてけぼりになりました(笑)。
でもこれ、正体がわかれば「儲けの計算を、期末に一気にまとめてやる」というシンプルな仕組みだったんです。その"儲けを後回しにする理由"に気づいた瞬間、一気に霧が晴れました。今日は私がつまずいたポイントをそのまま攻略法に変換して、仕入・売上・繰越商品の3勘定を一気に整理します!
簿記3級の取引の大半は「商品を仕入れて売る」です。この仕訳を正確に書けるかどうかが、合否に直結します。三分法は仕入・売上・繰越商品の3つの勘定を使う、最も基本的な商品売買の記録方法です。
受験生
「三分法」って名前からして難しそうで…仕入・売上・繰越商品の3つを使い分けるのがよくわかりません。
若葉(簿記1級勉強中)
その気持ち、痛いほどわかります!私も最初はそこで固まりました。でも三分法の一番のポイントはたった1つ、「売ったときにその場で利益を計算しない」ということだけなんです。仕入は費用としてポンと記録するだけ、売上は収益としてポンと記録するだけ。差額が利益として姿を現すのは、決算というクライマックスのタイミングだけ。焦らず、この"後回し設計"を体感してください。
受験生
じゃあ「繰越商品」ってどこで使うんですか?名前からして謎です…
若葉(簿記1級勉強中)
期末に売れ残った商品を、次の期にバトンタッチするための勘定です。「しくりくりし」という決算整理仕訳で満を持して登場します。私も初見では「呪文か!」と思いましたが、パターンさえ一度体に叩き込めば、あとは機械的に解けるようになりますよ!
📦 三分法の3つの勘定科目——仕入・売上・繰越商品はそれぞれ何の要素?
三分法では商品取引に仕入・売上・繰越商品の3つを使い分けます。決算時の「しくりくりし」で売上原価が確定します。
費用
仕入(しいれ)
商品を買ったときに使う。費用の勘定。期末に損益勘定へ振り替える。
収益
売上(うりあげ)
商品を売ったときに使う。収益の勘定。期末に損益勘定へ振り替える。
資産
繰越商品(くりこししょうひん)
期末に売れ残った商品(在庫)を表す。決算整理でのみ動く。
「三分法」と呼ぶ理由:商品の動きを仕入・売上・繰越商品の「3つ」の勘定に分けて記録するから。
📝 ① 商品を仕入れたときの仕訳——「仕入(費用)」を借方に記録する
商品を買うと「仕入」(費用)が増えます。支払い方法(現金・当座預金・買掛金など)によって貸方が変わるだけで、借方は必ず「仕入」です。
💰 ② 商品を売ったときの仕訳——「売上(収益)」を貸方に記録する
例題
原価 ¥50,000 の商品を ¥80,000 で現金販売した。
売上は販売額(売価)で記録する!
原価 ¥50,000 ではなく、お客さんから受け取る金額 ¥80,000 で仕訳します。原価と売価の差 ¥30,000 が利益(売上総利益)になります。
🔄 ③ 返品・値引きの仕訳——仕入返品と売上返品はどちらも「逆の仕訳」で処理する
仕入側の返品・値引き
仕入返品(¥5,000)
買掛金5,000/仕入5,000
売上側の返品・値引き
売上返品(¥5,000)
売上5,000/売掛金5,000
返品・値引きは最初の仕訳を「逆に戻す」イメージ。仕入れたものを戻したら仕入を減らし、売ったものが戻ってきたら売上を減らします。
✏️ ④ 決算整理:繰越商品の仕訳——「しくりくりし」で売上原価を確定させる
期末に売れ残った商品(在庫)を「繰越商品」として翌期に引き継ぎます。決算整理仕訳は2ステップです。
ステップ① 期首の繰越商品を仕入に振り替える(期首商品 ¥10,000)
仕入10,000/繰越商品10,000
ステップ② 期末の在庫を繰越商品に振り替える(期末商品 ¥15,000)
繰越商品15,000/仕入15,000
売上原価の計算式
売上原価 = 期首商品 + 当期仕入高 − 期末商品
例)10,000 + 200,000 − 15,000 = 195,000
❓ ⑤ 三分法 vs 分記法——簿記3級の試験で出るのはどっち?
商品売買の記帳方法には「三分法」と「分記法」の2種類がありますが、日商簿記3級の試験で使うのは三分法のみです。分記法は参考知識として押さえておきましょう。
三分法(3級はこちら)
仕入・売上・繰越商品の3勘定を使う。売上総利益は期末に自動計算。
分記法(参考・3級ではほとんど出題されない)
商品・商品売買益の2勘定を使う。売却のたびに利益が確定する。
3級の試験は三分法で解答する!
分記法は2019年度の出題区分改定以降、3級ではほとんど出題されなくなりました。ここでは「三分法が3級のスタンダード」とだけ覚えておけばOKです。
🚚 ⑥ 仕入諸掛り(付随費用の処理)——運賃は「当社負担」か「先方負担」かで仕訳が変わる
商品の売買に伴う送料などの諸経費(諸掛り)は、誰が負担するかで処理が変わります。
当社負担の場合——仕入原価に含める
仕入時(仕入原価に合算):購入代価1,500 + 諸掛り100
仕入1,600/買掛金1,500
現金100
売上諸掛り vs 仕入諸掛りの違い
・売上時の諸掛り→「発送費」で別建て(仕入には合算しない)
・仕入時の諸掛り→「仕入」勘定に合算(発送費は使わない)
同じ諸経費でも、売上側と仕入側で処理が真逆!
先方負担の場合——立替金(資産)として記録する
仕入先負担の送料100円を立替払い
仕入1,500/買掛金1,500
立替金100/現金100
または買掛金と相殺する方法
仕入1,500/買掛金1,400
現金100
先方負担の費用は絶対に「仕入」に合算しない!
仕入先が負担すべき送料は、自分(当社)の費用にはなりません。立替金(資産)として記録し、後で仕入先から回収します。
📚 発展:なぜ売上原価対立法では「売上原価」勘定をわざわざ使うのか
3級の範囲を超えますが、2級・1級で登場する売上原価対立法との違いを理解すると、三分法の設計思想がより深く見えてきます。「仕入勘定だけで十分では?」という素朴な疑問に答えます。
身近な例で考えてみましょう。三分法は、レシートを財布にとりあえず全部ため込んでおいて、月末に「今月何にいくら使ったか」をまとめて集計するようなやり方です(=仕入は「期中に買った金額の合計」を記録するだけの勘定)。一方、売上原価対立法は、家計簿アプリにその場で入力して「今いくら使ったか」が常にリアルタイムで分かる状態を保つやり方です。
これをバイト先のコンビニで例えると、もっとイメージが掴みやすくなります。POSレジのシステムでは、商品が1つ売れるたびに「その商品の原価」が即座に在庫から差し引かれ、売上原価としてリアルタイムで計上されます。棚卸しをしなくても、今この瞬間の在庫金額と売上原価が分かる仕組みです。三分法は逆に、期末に実地棚卸しをして初めて「今期いくら売れたか(売上原価)」が確定する、アナログな精算方式です。
ここで本題の疑問に戻ります。売上原価対立法では、なぜ「仕入」勘定をそのまま使わず、わざわざ「売上原価」という勘定を新設するのでしょうか。理由は、「仕入」は"買った金額の合計"を表す勘定であり、"売れた分の原価"を表す勘定ではないからです。売上原価対立法では、商品を仕入れた時点で「商品」(資産)を増やし、売れた時点でその商品の原価だけを「商品」から「売上原価」(費用)へ振り替えます。もし仕入勘定をそのまま流用してしまうと、「今期買った総額」と「今期売れた分の原価」が同じ勘定の中でごちゃ混ぜになり、今この瞬間の在庫がいくら残っているかをリアルタイムに把握できなくなってしまいます。勘定を分けることで、「商品(在庫)」「売上原価(売れた分)」を常に分離して管理できるのです。
三分法と売上原価対立法の使い分け:三分法は期末にまとめて処理するため手間が少なく、中小企業や3級レベルの学習に向いています。売上原価対立法は取引のたびに在庫・原価が更新されるため手間がかかりますが、POSシステムなど常に在庫状況を把握したい業態(小売業など)で使われます。
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📋 まとめ:三分法 早見表
商品を仕入れた仕入 / 現金(または買掛金)
商品を売った現金(または売掛金)/ 売上(売価で記録)
仕入の返品・値引き買掛金 / 仕入
売上の返品・値引き売上 / 売掛金
決算①期首商品の振替仕入 / 繰越商品
決算②期末商品の振替繰越商品 / 仕入
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