日商簿記3級 | 公開:2026年5月7日

合計試算表・合計残高試算表・残高試算表
3つの違いと書き方を完全解説

著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)

大谷
大谷 一輝 より

こんにちは、大谷です!
正直に告白すると、簿記の勉強を始めたばかりの頃、模範解答の試算表を初めて見たとき「なんじゃこりゃ!!」と本気で頭が真っ白になりました。数字がびっしり並んだ表に「合計」やら「残高」やら似た名前の欄が横並びで、どこに何を書けばいいのか全く分からず……。仕訳は全問正解だったのに、答案用紙の欄を間違えただけで試算表の問題を丸ごと落とした苦い記憶があります。
だからこそ、当時の僕と同じように答案用紙を前にフリーズしている皆さんへ、丸暗記ゼロで欄を絶対に間違えない【ミスゼロ攻略法】と、集計時にやりがちな電卓の罠の避け方を、この記事で全部お伝えします!

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簿記の2大帳簿:仕訳帳と総勘定元帳

仕訳帳→総勘定元帳→3種類の試算表(合計・合計残高・残高)の構造図解
図:仕訳帳から元帳を経て3種類の試算表に展開される流れと各試算表の違い

試算表を理解する前に、取引を記録する2つの主要簿を知っておきましょう。

仕訳帳(主要簿①)
取引を日付順に借方・貸方で記録する帳簿。「いつ・どんな取引があったか」を日記のように記録する。
総勘定元帳(主要簿②)
勘定科目ごとに金額を集計するT字型の帳簿。「現金の残高はいくらか」などを科目別に確認できる。
流れ:仕訳帳 → 転記 → 総勘定元帳 → 試算表
仕訳帳が「原本」、総勘定元帳が「科目別インデックス」。仕訳帳の各取引を科目別に元帳へ移す作業を「転記」と呼びます。

転記とは?(4ステップ)

仕訳帳の取引1行を、対応する2つの元帳ページへ転記します。

  1. 借方の科目(例:現金)の元帳ページを開く
  2. 現金勘定の借方欄に金額を記入
  3. 貸方の科目(例:売上)の元帳ページを開く
  4. 売上勘定の貸方欄に金額を記入 → 完了!
転記のルール:方向は変わらない
仕訳帳の借方科目 → 元帳の借方へ、貸方科目 → 元帳の貸方へ。仕訳と同じ方向にそのまま転記するだけです。

試算表を作る目的

試算表は「転記が正確に行われているか」を検証するための一覧表です。仕訳帳に書かれた仕訳を総勘定元帳へ転記(科目別に写す作業)した後、全科目の残高を一覧化して借方合計と貸方合計が一致するか確認します。

転記の流れ
仕訳帳(日付順に記録)→ 転記 → 総勘定元帳(科目別に集計)→ 試算表(全科目の一覧)
試算表で発見できること
転記ミス・記入漏れ・計算ミスを早期発見できる。借方合計 ≠ 貸方合計 → 必ずどこかにミスあり。
試算表と決算の関係
試算表は期中に何度でも作成できます。決算では「決算整理前残高試算表(前T/B)」を作成し、減価償却などの決算整理仕訳を行った後に「決算整理後残高試算表(後T/B)」を作成します。最終的にこの後T/Bを元に B/S・P/L が完成します。

決算の5ステップと試算表の位置づけ

試算表は決算プロセスのインプットとして使われます。決算の全体像を先に把握しておきましょう。

  1. 残高試算表(前T/B)作成:期末時点の各科目残高を集計
  2. 決算整理仕訳:減価償却・貸倒引当金など修正仕訳(→第12章)
  3. 残高試算表(後T/B)作成:修正後の残高を集計
  4. 帳簿の締め切り:収益・費用勘定をゼロリセット(→第11章)
  5. 財務諸表(B/S・P/L)作成:決算のゴール!
試算表は「前T/B」と「後T/B」の2回作成する
期中に何度でも作成でき(月次・四半期も可)、ミスの早期発見に役立ちます。

3種類の試算表:まず違いをつかむ

【合計】が付く場合
借方・貸方それぞれの合計金額を両方記入する。取引の総額がわかる。
【残高】が付く場合
借方と貸方の差引した残高のみ、どちらか一方に記入する。
タイプA
合計試算表
借方・貸方それぞれの合計のみを記入する。
合計欄のみ
タイプB
合計残高試算表
合計と残高の両方を記入する。一番情報量が多い。
合計欄+残高欄
タイプC
残高試算表
差引した残高のみ、どちらか一方に記入する。
残高欄のみ
試験での確認ポイント:答案用紙を最初に見る!
問題を解く前に必ず答案用紙の列ヘッダーを確認する。「合計」と書いてあれば両方記入、「残高」と書いてあれば一方のみ。これだけで形式ミスはゼロになります。

電卓ハック:T字メモから答案用紙へ、二重集計ゼロで転記する手順

試算表の問題は、下書き用紙に勘定科目ごとのT字(略式T勘定)を作り、そこに借方・貸方の金額をどんどん書き込んでいくのが定石です。ここで一番怖いのが「電卓で合計を叩いたのに、答案用紙に書き写すときにもう一度同じ数字を頭の中で足してしまう」二重集計のミス。防ぐ手順はこれだけです。

  1. 1科目の集計に入る前に、電卓は必ず「AC」で一度リセットする(前の科目の合計を引きずらない)
  2. T字の借方側だけを上から順に「+」で電卓に打ち込み、「=」で借方合計を出す
  3. 借方合計が出たら、暗算で二度計算し直さずその場ですぐ答案用紙に転記する。両方の合計を計算してからまとめて書こうとすると頭の中で数字が混線する
  4. 続けて電卓を「AC」でリセットし、T字の貸方側だけを「+」で打ち込み → 「=」→ 即転記、を同じ手順で繰り返す
  5. 転記が終わったT字の数字には斜線(/)を引いていく。斜線のない数字が残っていたら、それはまだ電卓に入力していない=集計漏れの合図
二重集計が起きる典型パターン
電卓の表示を一度見た後に「あれ、この数字さっき足したっけ?」と不安になって、頭の中でもう一度同じ数字を足してしまうケースが最多です。電卓の表示を信じて「計算→即転記」を徹底するだけで、このミスはほぼゼロにできます。

使用データ(共通)

以下の3種類の表はすべて同じ仕訳データから作成しています。

【各勘定の借方合計・貸方合計・残高】
勘定科目 借方合計 貸方合計 残高(借方) 残高(貸方)
現金272,000144,000128,000
売掛金100,00040,00060,000
備品200,000200,000
買掛金30,00080,00050,000
借入金200,000200,000
資本金60,00060,000
売上300,000300,000
仕入162,000162,000
給料60,00060,000
合 計824,000824,000610,000610,000

① 合計試算表

各勘定の借方合計・貸方合計を両方の列に記入します。残高は記入しません。

合計試算表
借方合計 勘定科目 貸方合計
272,000現金144,000
100,000売掛金40,000
200,000備品
30,000買掛金80,000
借入金200,000
資本金60,000
売上300,000
162,000仕入
60,000給料
824,000合 計824,000
借方合計(取引で借方に来た金額の総計) 貸方合計(取引で貸方に来た金額の総計)

② 合計残高試算表

合計欄と残高欄の両方を記入します。まず合計欄を埋め、次に差額で残高欄を計算するのが解く順番のコツです。

合計残高試算表
残高 合計 勘定科目 合計 残高
(借方) (借方) (貸方) (貸方)
128,000272,000現金144,000
60,000100,000売掛金40,000
200,000200,000備品
30,000買掛金80,00050,000
借入金200,000200,000
資本金60,00060,000
売上300,000300,000
162,000162,000仕入
60,00060,000給料
610,000824,000合 計824,000610,000
合計残高試算表の解く順番
① まず合計欄(借方・貸方)を埋める
② 合計欄の差額を計算して残高欄に記入
 → 借方合計 > 貸方合計 → 差額を残高欄の借方へ
 → 貸方合計 > 借方合計 → 差額を残高欄の貸方へ

③ 残高試算表

各勘定の差引残高のみを、借方か貸方どちらか一方に記入します。同じ勘定科目で借方と貸方の両方に金額を書くことはありません。

残高試算表
借方残高 勘定科目 貸方残高
128,000現金
60,000売掛金
200,000備品
買掛金50,000
借入金200,000
資本金60,000
売上300,000
162,000仕入
60,000給料
610,000合 計610,000
残高試算表で「合計欄」の金額を書くと0点!
現金の例:借方272,000・貸方144,000が取引の合計でも、残高試算表には差引した残高128,000のみを借方欄に記入します。合計の272,000や144,000は書きません。

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📋 まとめ:3種類の試算表 早見表

合計試算表 借方合計・貸方合計を両方記入(残高は書かない)
合計残高試算表 合計欄と残高欄の両方を記入(情報量が一番多い)
残高試算表 差引残高のみ、借方か貸方の一方に記入
試験での確認方法 答案用紙の列ヘッダーを最初に見る!
合計残高試算表の解く順 ①合計欄を先に埋める → ②差額で残高欄を計算

よくある質問

残高試算表と合計試算表の違いは何ですか?

合計試算表は各勘定の借方合計・貸方合計を集計した表です。残高試算表は差額(残高)だけを集計した表です。合計残高試算表は両方を合わせたもので、3種類とも試験範囲です。

試算表の借方と貸方はなぜ必ず一致するのですか?

複式簿記では必ず借方と貸方が同額で記録されるため、全取引を集計した試算表では借方合計と貸方合計が必ず一致します。一致しない場合は転記ミスや計算間違いがあります。

試算表と精算表の違いは何ですか?

試算表は帳簿の記録を確認するための表です。精算表は決算整理を行いP/L・B/Sを作成するための作業表です。試算表を精算表のインプット(残高試算表欄)として使います。

🧩

試算表は「借方=貸方」を合わせるだけのパズルです

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