日商簿記3級 | 公開:2026年5月8日

商品有高帳の書き方
先入先出法・移動平均法を例題で完全解説【日商簿記3級】

著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)

この記事でわかること(5秒まとめ)
大谷 一輝 より

こんにちは、大谷です!
初めて商品有高帳の表を見たとき、受入・払出・残高それぞれに数量・単価・金額の3列がズラッと並んでいて、「うわっ、なんじゃこりゃ、マス目多すぎ……どこから手をつければいいんだ!」と本気で頭が固まった記憶があります(笑)。
でも実は、この表は難しい理論なんかじゃなく、仕入れたロット(箱)を順番に消しゴムで消していくだけの単純作業なんです。「どのロットが残っていて、どのロットが消えたか」を目で追えるようになれば、あとは足し算・引き算だけ。
今回は、そんな【ハコ消しゴムハック】を使って先入先出法・移動平均法を一瞬で解けるようになる裏技を、図解と一緒にお届けします!

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受験生
商品有高帳の表がたくさんの列と数字で埋まっていて、どこを見ればいいのかわかりません…。
焦らなくて大丈夫。基本は「受入・払出・残高」の3ブロックだけです。仕入れたら受入欄、売れたら払出欄、その後の手持ちを残高欄に書く。これだけのルールです。
大谷くん
受験生
先入先出法と移動平均法、どちらを使うかって問題文に書いてありますか?
はい、問題文に必ず「先入先出法で記帳する」か「移動平均法で記帳する」と指定されています。指定された方法だけ確実に計算できれば十分です。両方の考え方がわかれば、どちらが出ても対応できますよ!
大谷くん

📦 ① 商品有高帳とは——補助簿の役割と「受入・払出・残高」の3列の意味

先入先出法と移動平均法の払出単価決定ルートを比較する図解

商品有高帳で最も大切なのが払出単価の計算方法です。図解の通り、先入先出法は「古い単価から順番に使う」ので単価は変わりません。移動平均法は「仕入れるたびに平均を計算し直す」ので仕入れのたびに単価が更新されます。この違いを図で頭に入れてから、下の例題に進みましょう。

商品有高帳は、商品の受入・払出・残高を管理する補助簿です。三分法では「仕入」「売上」「繰越商品」の3勘定を使いますが、実際に何個をいくらで仕入れてどれだけ残っているかは総勘定元帳だけでは把握できません。商品有高帳を記けることで、売上原価(払出金額の合計)を正確に計算できます。

📋 ② 先入先出法(FIFO)——古い仕入れから順番に払い出す方法

先入先出法は「古いものから先に払い出す」というルールです。先に仕入れたロットから順番に払い出すため、払出単価は仕入順に決まります。物価が上昇しているときは、古い(安い)単価が先に払い出されるため、売上原価が低く・利益が高くなる傾向があります。

攻略のコツ:「ハコ消しゴムハック」
先入先出法は、仕入れた単価ごとのロット(箱)を積み木のように並べて、古い箱から消しゴムで消していくとイメージすると一気に解きやすくなります。
①まず問題文から「@200円が100個」「@210円が200個」のように、単価ごとの箱を仕入れた順に紙に並べて書き出す。
②払出が発生したら、一番古い(一番下・一番左)の箱から必要な数量分だけ消しゴムで消す。
③1つの箱を消し切ってもまだ払出数量が残っていたら、次に古い箱を消し進める(ロットをまたぐ払出)。
④最後まで消されずに残った箱が、そのまま残高欄の中身になる。
この「古い箱から順番に消し込む」というシンプルな作業だと捉えれば、複数ロットにまたがる払出も怖くありません。

先入先出法の例題——古い単価から順に払い出す計算手順

例題

以下の取引について先入先出法で商品有高帳を記入しなさい。

先入先出法では、売上150個の払出は「期首の100個(@200円)→ 仕入分の50個(@210円)」の順に払い出します。

日付 摘要 受 入 払 出 残 高
数量単価金額 数量単価金額 数量単価金額
前期繰越期首 10020020,000 10020020,000
5/10仕入 20021042,000 20021042,000
5/15売上① 10020020,000
5/15売上② 5021010,500 15021031,500
払出合計 15030,500 15021031,500

先入先出法では、単価の異なるロットが残高欄に複数行並ぶことがあります(上記では期首100個と仕入200個が混在)。払出時は古い方から先に処理します。

📊 ③ 移動平均法——仕入れるたびに平均単価を再計算する方法

移動平均法は「仕入のたびに平均単価を計算しなおす」方法です。受入のたびに(受入前残高金額+今回受入金額)÷(受入前残高数量+今回受入数量)で新しい平均単価を求め、以後の払出にはこの単価を使います。

移動平均法の例題——仕入のたびに「合計÷合計数量」で単価を更新する

同じ例題で移動平均法を使います。5月10日の仕入後の平均単価を計算します。

平均単価 =(20,000 + 42,000)÷(100 + 200)= 62,000 ÷ 300 = 206.67円(≒207円)

日付 摘要 受 入 払 出 残 高
数量単価金額 数量単価金額 数量単価金額
前期繰越期首 10020020,000 10020020,000
5/10仕入 20021042,000 30020762,000
5/15売上 15020731,050 15020730,950
払出合計 15020731,050 15020730,950

移動平均法では、残高欄の単価は常に1行(平均単価)になります。端数が出る場合は問題の指示(小数点以下切捨てなど)に従います。

🔍 ④ 2つの方法の違いと選び方——先入先出法と移動平均法どちらが試験で有利?

比較項目 先入先出法(FIFO) 移動平均法
払出単価の決め方 古いロットから順番 仕入のたびに平均計算
残高欄の行数 複数行になることあり 常に1行
物価上昇時の売上原価 低くなる(古い安い単価) 中間的な値
物価上昇時の利益 高くなる 中間的な値
計算の手間 払出時に複数ロットの管理が必要 仕入時に平均計算が必要
試験での注意点:払出欄の単価・金額・残高欄の記入ミスに注意
商品有高帳の記入問題では、払出欄の単価と金額を正確に記入することが重要です。先入先出法では複数ロットにまたがる場合、払出欄を2行に分けて記入します。残高欄の金額は「数量×単価」で必ず一致させましょう。

⚖️ ⑤ 先入先出法 vs 移動平均法——同じデータで計算すると売上原価はどう変わる?

同じデータを両方の方法で計算すると、売上原価と期末在庫の金額が変わります。問題で指定された方法を必ず確認してから計算を始めましょう。

比較データ

前月繰越:100個 @100円 / 仕入:100個 @120円 / 売上:150個(払出)

先入先出法の計算結果——古い単価から払い出したときの払出・残高金額

払出は古い単価(@100円)から100個→次に仕入分(@120円)から50個の順。

移動平均法の計算結果——平均単価を使ったときの払出・残高金額

仕入後の平均単価:(100個×100円 + 100個×120円) ÷ 200個 = 22,000 ÷ 200 = @110円

方法 売上原価(払出) 期末在庫残高 合計(一致確認)
先入先出法 16,000円 6,000円 22,000円
移動平均法 16,500円 5,500円 22,000円
売上原価 + 期末在庫 = 期首在庫 + 仕入高(合計は一致する)
方法によって内訳(売上原価と期末在庫の金額)は変わりますが、合計(22,000円)は必ず一致します。計算後に合計でチェックする習慣をつけましょう。

💡 ⑥ なぜ「期首在庫+仕入高-期末在庫=売上原価」なのか——売れた分だけコストを計上する考え方

三分法では期中に売上原価を自動計算できません。そこで決算整理で次の公式を使います。

売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入高 - 期末在庫

この公式の背景には費用収益対応の原則があります。

三分法の弱点を補うのが商品有高帳と決算整理
三分法では期中の仕訳で売上原価が自動計算されません。期末に「期首振替→期末振替」の2本セットの決算整理仕訳を行うことで、初めて正確な売上原価が算定されます。

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練習問題

以下の取引について、先入先出法・移動平均法それぞれで商品有高帳を記入しなさい。

ポイント:先入先出法では4月10日の払出が2ロットにまたがります。移動平均法は仕入のたびに平均単価を再計算します。

まとめ:商品有高帳 早見表

先入先出法(FIFO)古いロットから順に払出。残高欄が複数行になることあり
移動平均法仕入のたびに平均単価を再計算。残高欄は常に1行
払出金額の合計売上原価になる(費用)
残高金額期末商品棚卸高になる(資産)

この記事が少しでも参考になったら……

商品有高帳は、ロットを積み木のように並べて古い箱から消していく「ハコ消しゴムハック」に気づけば、複雑な表もただの作業に変わります。
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よくある質問

先入先出法と移動平均法の違いは何ですか?

先入先出法は古い仕入分から先に売れたと仮定して原価計算する方法、移動平均法は仕入のたびに平均単価を計算し直す方法です。どちらも日商簿記3級の試験範囲です。

売上原価の算定式はどうやって覚えますか?

売上原価=期首商品棚卸高+当期仕入高-期末商品棚卸高で計算します。「しくりくりし」(仕繰り繰り仕)と覚えると決算整理仕訳が書きやすくなります。

商品有高帳は試験で記入できるようにする必要がありますか?

はい、日商簿記3級では商品有高帳の記入問題が出題されます。先入先出法と移動平均法の両方の形式で記入できるように練習しておきましょう。