初心者向け連載 | 第4回 | 公開:2026年5月7日

仕訳のしくみ・借方と貸方とは?
【ゼロからの簿記 第4回】

著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)

いよいよ簿記の核心、仕訳(しわけ)です。
「借方・貸方って何?」「勘定科目って普通の言葉じゃダメなの?」—— 私も最初はここで止まりかけました。
でも仕組みを理解すれば、仕訳は「ルールに従って書くだけ」になります。焦らず読んでみてください。

📚 初めての人向け!ゼロからの簿記 — 全5回
  1. 第1回「お店の取引とは?」「簿記とは?」
  2. 第2回「なぜ簿記が大事といわれるか?」
  3. 第3回「簿記の流れ」
  4. 第4回「仕訳のしくみ」← 今ここ
  5. 第5回「仕訳から財務諸表へ」

単式簿記と複式簿記の違い

取引をメモする方法には、単式簿記複式簿記の2種類があります。

単式簿記
家計簿スタイル

お金の出入りを1行でメモする。個人の家計簿と同じ感覚。

✅ 書きやすい
❌ 「なぜ増えた/減ったか」がわかりにくい

4/1 商品販売 +1,100円
複式簿記
仕訳スタイル

1つの取引を左右2面から記録する。お店や会社で使う正式な方法。

✅ 「何が増えて何が減ったか」が両面わかる
✅ 財務諸表が自動的に作れる

現金 1,100 / 売上 1,100

ここで、上のカードの単式簿記(左)を見てください。「4/1 商品販売 +1,100円」と書いてあるだけです。お金が増えたのはわかりますが、なぜ増えたのかが全くわかりません。商品を売ったから?銀行から借りたから?株主に出資してもらったから?——「1行記録」では原因が記録に残らないのです。

一方、上のカードの複式簿記(右)を見てください。左に【結果】現金 1,100円、右に【原因】売上 1,100円が同時に記録されています。「何が増えたか(結果)」と「なぜ増えたか(原因)」の2つの面を、1行の仕訳で同時に表現できる——これが複式簿記の最大の強みです。この仕訳を積み重ねることで、損益計算書や貸借対照表が自動的に出来上がります。会社の決算に家計簿が使えない理由は、まさにここにあります。

受験生
受験生
家計簿じゃダメな理由がいまいちピンとこないです…
大谷
大谷(簿記1級勉強中)
たとえば「現金が100万円増えた」と単式簿記で記録したとします。でもその100万円は「商品を売ってもらったのか」「銀行から借りたのか」「株主から出資してもらったのか」が記録に残りません。複式簿記なら両面書くので原因と結果が同時に記録できるんです。
受験生
受験生
なるほど!借りたお金と売上は全然違うから、区別して記録しないといけないんですね。

仕訳のしくみ

単式簿記vs複式簿記の比較と借方・貸方の左右ルール図解

複式簿記では、取引のメモを仕訳(しわけ)という形で書きます。仕訳は必ず「左」と「右」の2列に分けて書きます。

たとえば「商品を売って1,100円の現金を受け取った」という取引は、次のように仕訳します。

借方(かりかた)=左
現金 1,100
貸方(かしかた)=右
売上 1,100
【結果】借方(左)
現金
1,100円
現金が手に入った!
【原因】貸方(右)
売上
1,100円
商品を売ったから!
左右の金額は必ず一致する(天秤のようにバランス!)

左右の金額は必ず一致します(バランスが崩れると計算ミスのサイン)。これが複式簿記の「複式」の意味 ——1つの取引を必ず2面から記録するというルールです。

借方・貸方の覚え方

「借方」「貸方」は本当に紛らわしい言葉です。私も最初は何度も間違えました。でも、上の図の「り」「し」を見てください。字の形で一発で覚えられる方法があります。

⬅️
借(か)方 = 左
「り」のハネが⬅️左に払う!
だから借方は
➡️
貸(か)方 = 右
「し」の曲がりが➡️右に流れる!
だから貸方は

「かかた」の「り」という字、ハネが⬅️左方向に払いますよね。だから借方は左!「かかた」の「し」という字、曲がりの先が➡️右に向かって流れていきますよね。だから貸方は右!——この2文字を思い浮かべるだけで、左右を迷わなくなります。私が簿記を始めたとき、この覚え方を知ってから一度も間違えたことがないくらい強力です。ぜひ試してみてください。

💡 大谷の本音アドバイス
「り」「し」の覚え方を知ったうえで、あとは仕訳問題を10問解けば完全に定着します。「借方は左」を100回唱えるより、手を動かす方が断然早いです。最初の2〜3週間は少し混乱しても全然OKです。
受験生
受験生
借方が左か右か、いつも混乱します。何かいい方法ありますか?
大谷
大谷(簿記1級勉強中)
その混乱、痛いほどわかります(笑)。僕、大学の講義で初めて仕訳を習ったとき、「左が借方で、右が貸方?」って言われた瞬間に頭が真っ白になったんです。「借りてる」んだから普通は右っぽいのに、なんで左なの…?「うわっ、なんじゃこりゃ!」って本気で脳がバグりました。
受験生
受験生
まさに今の私です…!言葉の意味で覚えようとすると、余計こんがらがるんですよね。
大谷
大谷(簿記1級勉強中)
そうなんです、意味で覚えようとするのが沼なんです。でもある日、「かかた」の「り」のハネが左に払われている形をしていて、「かかた」の「し」の曲がりが右に流れている形をしていることに気づいた瞬間——パズルのピースがガチャッとハマるみたいに、一瞬で全部つながったんです。あの「わかった!」の感動は今でも覚えています。

勘定科目とは?

仕訳に出てくる「現金」「売上」などの言葉を勘定科目(かんじょうかもく)といいます。なぜ「お金」「売り上げ」ではなく「現金」「売上」という特定の言葉を使うのでしょうか。

REASON

勘定科目は「誰が見ても同じ意味に伝わる共通言語」だから

たとえばA社が「お金」、B社が「金銭」、C社が「現金」と書いたら、後で比較しようとしたとき同じ意味かどうか判断できません。そこで日本中のお店・会社が「現金」「売上」「買掛金」などの統一された勘定科目を使います。

試験では主要な勘定科目を覚える必要がありますが、3級の範囲は約50〜60個です。最初から全部覚えようとせず、問題を解きながら自然に覚えていくのが効率的です。

💡 仕訳パズルの絶対ルール:5要素の特等席
勘定科目を1つずつ覚える前に、これだけは絶対に頭に入れてください。資産・費用が増えたら左(借方)が特等席! 負債・純資産・収益が増えたら右(貸方)が特等席! この【ホームポジション】さえ頭に入れば、どんな仕訳も「増えた要素を、決まった特等席(左か右)にはめるだけ」の簡単なゲームに変わるよ!勘定科目の名前を覚えるより先に、この5要素がどっちの特等席に座るかを体で覚えるのが最短ルートです。

よく使う勘定科目(3級レベル)

種類 主な勘定科目
資産(財産)現金・普通預金・売掛金・商品・建物・備品
負債(借金)買掛金・借入金・未払金
収益(売上系)売上・受取利息・受取手数料
費用(コスト系)仕入・給料・家賃・通信費・水道光熱費

仕訳を見ればわかること

仕訳が書けるようになると、「取引の事実」が左右2列から読み取れます。

借方(左)
現金 1,100
貸方(右)
売上 1,100

この仕訳を積み重ねていくと、「現金の残高」「売上の合計」が自動的に計算され、第3回で学んだ財務諸表(損益計算書・貸借対照表)ができあがります。これが第5回のテーマです。

⚠ よくある誤解
「借方=借りている(負債)」ではありません。借方・貸方はただの「左・右」を指す記帳用語です。資産が左(借方)に増えることもあれば、負債が右(貸方)に増えることもあります。意味と位置は切り離して覚えましょう。

第4回のまとめ

📌 次回予告(最終回)
第5回は「仕訳から財務諸表へ」。仕訳をどうやって損益計算書・貸借対照表にまとめていくのか、簿記の全体の流れを完成させます。この連載のゴール回です!

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📚 ゼロからの簿記 — 全5回
  1. 第1回「お店の取引とは?」「簿記とは?」
  2. 第2回「なぜ簿記が大事といわれるか?」
  3. 第3回「簿記の流れ」
  4. 第4回「仕訳のしくみ」← 今ここ
  5. 第5回「仕訳から財務諸表へ」

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よくある質問

借方はなぜ「左」なのですか?語源はありますか?

語源は英語の "Debit(デビット)" と "Credit(クレジット)" が日本語に訳されたもので、「借方=左」に深い意味はありません。単なる「左側に書く列の名前」です。試験では意味より「借方=左・貸方=右」という位置を体で覚えることが最優先です。「か"り"かた」の「り」が左に払う字、「か"し"かた」の「し」が右に流れる字——この語呂合わせが最も実戦的な覚え方です。

仕訳の左右の金額はなぜ必ず一致するのですか?

複式簿記では1つの取引を「原因」と「結果」の2面から記録するため、同じ金額を左右に書きます。たとえば「現金が1,100円増えた(結果)」と「売上が1,100円発生した(原因)」は同じ1つの取引の2面です。左右が一致しない場合は仕訳のどこかに誤りがあるサインなので、検算として非常に役立ちます。

勘定科目は全部暗記しないといけませんか?

最初から全部覚える必要はありません。3級の主要な勘定科目は約50〜60個ですが、問題を解きながら自然に定着させるのが最も効率的です。現金・売上・仕入・買掛金・売掛金など、よく出るものから慣れていきましょう。使う頻度が高いものは自然と覚えられます。