いよいよ簿記の核心、仕訳(しわけ)です。
「借方・貸方って何?」「勘定科目って普通の言葉じゃダメなの?」—— 私も最初はここで止まりかけました。
でも仕組みを理解すれば、仕訳は「ルールに従って書くだけ」になります。焦らず読んでみてください。
取引をメモする方法には、単式簿記と複式簿記の2種類があります。
お金の出入りを1行でメモする。個人の家計簿と同じ感覚。
✅ 書きやすい
❌ 「なぜ増えた/減ったか」がわかりにくい
1つの取引を左右2面から記録する。お店や会社で使う正式な方法。
✅ 「何が増えて何が減ったか」が両面わかる
✅ 財務諸表が自動的に作れる
ここで、上のカードの単式簿記(左)を見てください。「4/1 商品販売 +1,100円」と書いてあるだけです。お金が増えたのはわかりますが、なぜ増えたのかが全くわかりません。商品を売ったから?銀行から借りたから?株主に出資してもらったから?——「1行記録」では原因が記録に残らないのです。
一方、上のカードの複式簿記(右)を見てください。左に【結果】現金 1,100円、右に【原因】売上 1,100円が同時に記録されています。「何が増えたか(結果)」と「なぜ増えたか(原因)」の2つの面を、1行の仕訳で同時に表現できる——これが複式簿記の最大の強みです。この仕訳を積み重ねることで、損益計算書や貸借対照表が自動的に出来上がります。会社の決算に家計簿が使えない理由は、まさにここにあります。
複式簿記では、取引のメモを仕訳(しわけ)という形で書きます。仕訳は必ず「左」と「右」の2列に分けて書きます。
たとえば「商品を売って1,100円の現金を受け取った」という取引は、次のように仕訳します。
左右の金額は必ず一致します(バランスが崩れると計算ミスのサイン)。これが複式簿記の「複式」の意味 ——1つの取引を必ず2面から記録するというルールです。
「借方」「貸方」は本当に紛らわしい言葉です。私も最初は何度も間違えました。でも、上の図の「り」「し」を見てください。字の形で一発で覚えられる方法があります。
「かりかた」の「り」という字、ハネが⬅️左方向に払いますよね。だから借方は左!「かしかた」の「し」という字、曲がりの先が➡️右に向かって流れていきますよね。だから貸方は右!——この2文字を思い浮かべるだけで、左右を迷わなくなります。私が簿記を始めたとき、この覚え方を知ってから一度も間違えたことがないくらい強力です。ぜひ試してみてください。
仕訳に出てくる「現金」「売上」などの言葉を勘定科目(かんじょうかもく)といいます。なぜ「お金」「売り上げ」ではなく「現金」「売上」という特定の言葉を使うのでしょうか。
勘定科目は「誰が見ても同じ意味に伝わる共通言語」だから
たとえばA社が「お金」、B社が「金銭」、C社が「現金」と書いたら、後で比較しようとしたとき同じ意味かどうか判断できません。そこで日本中のお店・会社が「現金」「売上」「買掛金」などの統一された勘定科目を使います。
試験では主要な勘定科目を覚える必要がありますが、3級の範囲は約50〜60個です。最初から全部覚えようとせず、問題を解きながら自然に覚えていくのが効率的です。
| 種類 | 主な勘定科目 |
|---|---|
| 資産(財産) | 現金・普通預金・売掛金・商品・建物・備品 |
| 負債(借金) | 買掛金・借入金・未払金 |
| 収益(売上系) | 売上・受取利息・受取手数料 |
| 費用(コスト系) | 仕入・給料・家賃・通信費・水道光熱費 |
仕訳が書けるようになると、「取引の事実」が左右2列から読み取れます。
この仕訳を積み重ねていくと、「現金の残高」「売上の合計」が自動的に計算され、第3回で学んだ財務諸表(損益計算書・貸借対照表)ができあがります。これが第5回のテーマです。
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語源は英語の "Debit(デビット)" と "Credit(クレジット)" が日本語に訳されたもので、「借方=左」に深い意味はありません。単なる「左側に書く列の名前」です。試験では意味より「借方=左・貸方=右」という位置を体で覚えることが最優先です。「か"り"かた」の「り」が左に払う字、「か"し"かた」の「し」が右に流れる字——この語呂合わせが最も実戦的な覚え方です。
複式簿記では1つの取引を「原因」と「結果」の2面から記録するため、同じ金額を左右に書きます。たとえば「現金が1,100円増えた(結果)」と「売上が1,100円発生した(原因)」は同じ1つの取引の2面です。左右が一致しない場合は仕訳のどこかに誤りがあるサインなので、検算として非常に役立ちます。
最初から全部覚える必要はありません。3級の主要な勘定科目は約50〜60個ですが、問題を解きながら自然に定着させるのが最も効率的です。現金・売上・仕入・買掛金・売掛金など、よく出るものから慣れていきましょう。使う頻度が高いものは自然と覚えられます。