日商簿記1級 | 公開:2026年7月9日 | 更新日:2026年9月3日
社債の定額法と利息法の違いがわからない人へ
2級の先にある「原則法」を図解で整理
著者:若葉(関西の大学3回生・ITパスポート・基本情報技術者学習中/簿記1級は中断中)
この記事でわかること(5秒まとめ)
- どちらも社債の償却原価法——金利調整差額を配分する方法
- 本質の違いは配分の仕方——定額法は「毎年同じ額」、利息法は「帳簿価額に対して一定率」
- 社債の発行側は簿記1級の論点——定額法と利息法を比較して学ぶ
- 会計理論上は利息法が原則、定額法は継続適用を条件に認められる簡便法
こんにちは、若葉です!
2級で満期保有目的債券の償却原価法を勉強したあとに、1級の社債の発行側の処理を見ると、同じ「償却原価法」でも立場が違うので混乱しやすいです。そこで出てくるのが定額法と利息法です。
仕組みは「毎年同じ額か、帳簿価額に対する一定率か」の違いです。誰の立場の処理かを先に確認してから、配分方法を整理していきましょう。
この記事で整理した内容から、次の学習で確認することを1つ選び、記録に残してみてください。
受験生
2級で満期保有目的債券の償却原価法を覚えたのですが、1級の社債には「利息法」という見慣れない言葉が出てきて混乱しています……。
若葉(IT資格学習中)
まず、誰の立場の処理かを分けましょう。2級では満期保有目的債券など保有側を扱い、社債を発行する側の処理は1級の範囲です。発行側で使う「利息法」は、帳簿価額に実効利子率を掛けて社債利息を計算する方法。定額法のように毎年同じ額にはならず、帳簿価額が増えるにつれて償却額も少しずつ増えていきます。
受験生
同じ償却原価法でも、保有側と発行側で出題範囲が違うんですね。では、発行側の定額法は間違った方法なのですか?
若葉(IT資格学習中)
間違いではないので安心してください。会計理論上は利息法が「本来あるべき原則」ですが、計算がシンプルな定額法も「継続して使うなら」という条件つきで正式に認められています。ここでは1級の社債の発行側について、定額法と利息法を比べます。
❓ 配分の仕方の違い——「毎年同じ額」か「帳簿価額に対する一定率」か
定額法と利息法は、どちらも社債の償却原価法——金利調整差額を発行期間にわたって配分する方法です。違いは、その配分の計算方法にあります。
出典:企業会計基準委員会「金融商品会計に関する実務指針」、日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表」(2026年9月3日確認)
毎年同じ額を配分
定額法(ていがくほう)
→ 金利調整差額 ÷ 発行期間
計算がシンプルな方法。社債の発行側では簿記1級の出題範囲に含まれる。
帳簿価額に対する一定率
利息法(りそくほう)
→ 帳簿価額 × 実効利子率
会計理論上の原則法。簿記1級で登場し、償却額が年々変化する。
📝 ① 定額法の計算——発行側で使う「毎年同じ額」
例題
額面100,000円、発行価額94,000円、償還期間5年の社債を発行した。定額法で償却原価法を適用する。
毎期の償却額 =(100,000-94,000)÷ 5年 = 1,200円
| タイミング | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 毎期の決算整理(5年間、毎回同じ) | 社債利息 | 1,200 | 社債 | 1,200 |
ポイント:差額6,000円を5年で割るだけなので、5年間ずっと同じ1,200円を計上します。計算の手間が少ないのが最大のメリットです。
💰 ② 利息法の計算——1級で登場する「帳簿価額に対する一定率」
例題
同じ社債(額面100,000円、発行価額94,000円、クーポン利率年2%=現金利払い2,000円/年)を、実効利子率年4%で利息法により処理する。
社債利息 = 期首帳簿価額 × 実効利子率
1年目:94,000円 × 4% = 3,760円
| タイミング | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 1年目の利払い・償却 | 社債利息 | 3,760 | 現金 | 2,000 |
| | | 社債 | 1,760 |
ポイント:現金で支払うクーポン利息2,000円と、帳簿上の社債利息3,760円との差額1,760円が、社債の帳簿価額に上乗せされます。2年目は帳簿価額が94,000円→95,760円に増えているため、社債利息も95,760円×4%=3,830円と、1年目より増加します。定額法のように毎年同じ額にはなりません。
🔍 ③ 出題範囲の違い——見分け方はシンプル
| 方法 | 出題範囲 | 位置づけ |
| 定額法 | 簿記1級(社債の発行側) | 計算が均等になる方法 |
| 利息法 | 簿記1級のみ | 原則法(会計理論上、本来あるべき方法) |
2級受験生へ:商工会議所の出題区分表では、社債の発行側の償却原価法は1級の範囲です。2級で扱う満期保有目的債券の償却原価法(保有側)と混同しないよう、誰の立場の処理かを確認してください。
出典:日本商工会議所「簿記検定試験出題区分表(1〜3級)」(2026年8月30日確認)
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📋 まとめ:定額法 vs 利息法 早見表
配分の方法定額法=均等配分/利息法=帳簿価額×実効利子率
毎期の償却額定額法=毎年同じ/利息法=年々増加
出題範囲社債の発行側の定額法・利息法=1級/2級は満期保有目的債券など保有側の処理
会計理論上の位置づけ利息法が原則、定額法は簡便法
🧭
「毎年同じ額か、帳簿価額に対する一定率か」——この1点で定額法と利息法はもう混同しません
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