日商簿記2級 | 公開:2026年5月9日 | 更新日:2026年8月10日

労務費とは?
直接労務費・間接労務費を解説【簿記2級】

著者:若葉(関西の大学3回生・日商簿記1級勉強中)

労務費は、製品を作るために働いた人にかかる原価です。材料費に比べるとイメージしにくいですが、ポイントは「作業時間を製品に直接ひもづけられるか」です。直接労務費と間接労務費の区別を押さえれば、工業簿記の流れがかなり見えやすくなります。

Study Quest worked example

肩書きではなく、作業時間の行き先で分ける

この練習問題では、直接工が8時間働き、製品Aの加工に5時間、工場の清掃に1時間、手待ち・点検に2時間を使ったとします。賃率は1時間1,500円です。

作業分類計算
製品Aの加工 5時間直接労務費5時間 × 1,500円 = 7,500円
清掃・手待ち・点検 3時間間接労務費3時間 × 1,500円 = 4,500円
合計 8時間賃金総額8時間 × 1,500円 = 12,000円
受験生
受験生
労務費、材料費よりイメージしにくくて苦手です……。直接工の人が働いた分は全部「直接労務費」でいいんですよね?
若葉
若葉(簿記1級勉強中)
うわっ、そこ、私も最初にガッツリひっかかったポイントです(笑)。実は違うんです。直接工でも、手待時間や機械の掃除みたいな間接作業をしている時間は「間接労務費」に分類されます。見るべきは「誰が働いたか」じゃなくて「その時間、特定の製品のために手を動かしていたか」なんですよ。
受験生
受験生
なるほど、人じゃなくて時間の中身を見るんですね。じゃあ予定賃率とか賃率差異は、何のために出てくるんですか?
若葉
若葉(簿記1級勉強中)
実際の賃率は月末にならないと確定しないので、先に「予定」の単価で計算を進めておくためです。あとから実際の金額とのズレ(差異)を精算する、というだけの話なので、身構えなくて大丈夫。まずは直接・間接の見分け方から一緒に整理していきましょう!
先に結論:労務費は「製造に関わる人件費」です。製品に直接関係する作業時間は直接労務費、補助作業や監督作業などは間接労務費として扱います。

労務費とは

労務費の直接労務費・間接労務費の分類と賃金消費額の計算
図:直接労務費(仕掛品へ賦課)vs 間接労務費(製造間接費→配賦)の分類と賃金消費額の計算式

直接労務費は仕掛品に直賦課、間接労務費は製造間接費を通じて配賦。賃金消費額は「支払高−月初未払+月末未払」で計算します。

労務費とは、製品を作るために発生した人件費です。工場で作業する人への賃金や給料が中心になります。

商業簿記では人件費を「給料」などの費用として処理しますが、工業簿記では製品を作るための人件費を製造原価として扱います。

賃金消費額の計算

給料は「支払った月」と「働いた月」がズレることがあるため、当月に発生した労務費(賃金消費額)は、支払高をそのまま使わず、未払分を調整して求めます。

賃金消費額 = 当月支払高 − 前月末未払高 + 当月末未払高

たとえば当月の賃金支払高が500,000円、前月末の未払高が40,000円、当月末の未払高が60,000円だった場合、当月の賃金消費額は次のように計算します。

500,000円 − 40,000円 + 60,000円 = 520,000円

前月末の未払高は「前月分だが当月に支払った金額」なので差し引き、当月末の未払高は「当月分だがまだ支払っていない金額」なので足し戻します。

直接労務費と間接労務費

分類意味
直接労務費どの製品のために作業したか直接わかる労務費特定の製品を加工した直接工の賃金
間接労務費どの製品のためか直接わけにくい労務費監督者の賃金、補助作業、手待時間、間接工の賃金

材料費と同じで、判断軸は「特定の製品に直接ひもづくか」です。直接作業時間に対応する賃金は直接労務費、それ以外は間接労務費に入ります。

労務費の基本計算

直接労務費は、作業時間と賃率で計算します。

直接労務費 = 直接作業時間 × 賃率

たとえば直接作業時間が80時間、賃率が1時間あたり1,500円なら、直接労務費は120,000円です。

直接労務費が発生したとき
仕掛品 120,000賃金 120,000

直接労務費は、製品の原価へ直接入るので「仕掛品」に振り替えます。

間接労務費が発生したとき
製造間接費 30,000賃金 30,000

間接労務費は、いったん製造間接費に集めてから製品へ配賦します。

直接工と間接工

工業簿記では、作業者を直接工と間接工に分けて考えることがあります。

区分意味
直接工製品の加工に直接関わる作業者
間接工修繕・運搬・補助作業など、製品加工を支える作業者

ただし、直接工の賃金がすべて直接労務費になるわけではありません。直接工でも、手待時間や間接作業時間は間接労務費になります。

ここがひっかけ:「直接工の賃金 = 直接労務費」と丸暗記するとミスします。直接工の作業時間のうち、直接作業時間だけが直接労務費です。

予定賃率と賃率差異

工業簿記では、予定賃率を使って労務費を計算することがあります。予定賃率とは、あらかじめ決めた1時間あたりの賃金単価です。

賃率差異 = (予定賃率 - 実際賃率) × 実際作業時間

たとえば予定賃率が1時間あたり1,500円、実際賃率が1,600円、実際作業時間が80時間だった場合、賃率差異は次のように計算します。

(1,500円 − 1,600円)× 80時間 = △8,000円(不利差異)

計算結果がマイナスになるのは「実際の方が予定より高くついた」状態で、これを不利差異といいます。逆にプラスになれば、予定より安く済んだ有利差異です。

差異分析は、予定で計算した金額と実際の金額のズレを調整するためのものです。最初は「予定を使うとズレが出るから、あとで差異を計算する」と理解できれば十分です。

労務費でよくあるミス

この記事の判断:労務費は「人」ではなく作業の行き先で仕訳する

私がこの論点で最初に見るのは、従業員の肩書きではなく、作業時間がどの製品に追跡できるかです。直接作業なら仕掛品、補助・監督作業なら製造間接費という行き先を先に決めると、賃金消費額や賃率差異の計算が後からつながります。

  1. 例題の作業内容に線を引き、製品へ直接追跡できるかを判定する。
  2. 仕訳を切る前に「直接/間接」と「予定/実際」の2軸を表にする。
  3. 最後に賃金消費額と賃率差異を別々に検算し、数字の符号だけで判断しない。

まとめ

⚔ 労務費を得点源にしよう

スタディクエストで工業簿記の勉強時間を記録し、直接費・間接費の区別を積み上げましょう。

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次の一手:作業時間の数字を1つ置き、直接労務費と間接労務費を計算する。 費用の論点へ進む

よくある質問

直接労務費と間接労務費の違いは?
製品に直接ひもづく作業時間の賃金が直接労務費です。補助作業・監督・手待時間など、直接わけにくいものは間接労務費です。
直接工の賃金は全部直接労務費ですか?
いいえ。直接工でも、手待時間や間接作業時間は間接労務費になります。直接作業時間だけを直接労務費として扱います。

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