日商簿記2級 | 公開:2026年5月9日 | 更新日:2026年7月29日

簿記2級の外貨換算会計とは?
為替差損益・決算時換算を解説

著者:若葉(関西の大学3回生・日商簿記1級勉強中)

外貨換算会計は、ドルなど外国通貨で行った取引を日本円に直して記録する論点です。簿記2級では、取引時・決済時・決算時で使うレートが変わり、差額を為替差損益として処理します。

受験生
受験生
円安・円高で為替差益になるか為替差損になるか、売掛金と買掛金で毎回逆になる気がして、本番だと絶対焦って間違えそうです……。
若葉
若葉(簿記1級勉強中)
わかります、私も最初はここで毎回止まってました。コツは「自分は外貨をもらう側か、払う側か」で考えることです。売掛金=将来もらう外貨だから、円安(円の価値が下がる)で受け取る円が増えて得=為替差益。買掛金はその逆で払う側なので、円安だと損=為替差損です。
受験生
受験生
「もらう側か払う側か」で考えるとイメージしやすいです!決算日にまだ残っている外貨建ての売掛金・買掛金はどうすればいいんですか?
若葉
若葉(簿記1級勉強中)
決算日のレートで換算し直すのがルールです。これを忘れると失点しやすいので要注意。取引時・決算時・決済時、この3つのタイミングでレートが変わるたびに差額を為替差損益にする、という流れさえ押さえれば怖くありません。
先に結論:外貨換算会計は「いつの為替レートで円に直すか」が勝負です。取引時は取引日レート、決算時の外貨建金銭債権債務は決算日レート、差額は為替差損益で処理します。

外貨換算会計とは

外貨換算の3タイミング(取引日・決算日・決済日)と為替差損益
図:取引発生→決算→決済の3タイミングとレートの使い分け

取引日レート・決算日レート・決済日レートの3つを使い分け、差額を為替差損益で処理するのが外貨換算の基本構造です。

外貨換算会計とは、外国通貨で行った取引や、外国通貨建ての債権・債務を日本円に換算して会計処理する方法です。

日本の会社がドルで商品を売ったり、ドルで仕入れたりする場合でも、帳簿は円で記録します。そのため、外貨を円に直すための為替レートが必要になります。

外貨建取引とは

外貨建取引とは、取引金額が外国通貨で表示されている取引です。輸出入、外貨建売掛金、外貨建買掛金、外貨預金などが代表例です。

取引
外貨建売上商品を1,000ドルで輸出した
外貨建仕入商品を800ドルで輸入した
外貨建売掛金ドル建ての売掛金が残っている
外貨建買掛金ドル建ての買掛金が残っている

取引発生時の換算

外貨建取引が発生したときは、原則として取引発生日の為替レートで円に換算します。

円換算額 = 外貨金額 × 取引発生日の為替レート

たとえば商品を1,000ドルで販売し、取引日のレートが1ドル=140円なら、売上は140,000円です。

借方金額貸方金額
売掛金140,000売上140,000

決済時の為替差損益

外貨建売掛金や買掛金を決済するとき、取引時と決済時の為替レートが違うと差額が出ます。この差額を為替差損益として処理します。

先ほどの1,000ドルの売掛金を回収するとき、決済日のレートが1ドル=145円だったとします。入金額は145,000円です。帳簿上の売掛金は140,000円なので、差額5,000円は為替差益になります。

借方金額貸方金額
現金預金145,000売掛金140,000
為替差益5,000

決算時換算

決算日に外貨建の売掛金・買掛金などが残っている場合、決算日の為替レートで換算し直します。これを決算時換算といいます。

項目決算時の扱い
外貨建売掛金決算日レートで換算し、差額を為替差損益にする
外貨建買掛金決算日レートで換算し、差額を為替差損益にする
外貨預金決算日レートで換算し、差額を為替差損益にする

売掛金・買掛金・外貨預金のような外貨建金銭債権債務は、決算時にレートを更新するのがポイントです。

決算時換算の例題

外貨建売掛金1,000ドルを、取引時に1ドル=140円で計上していた。決算日のレートが1ドル=143円だった場合、売掛金の決算時評価額は143,000円です。

決算時評価額 143,000円 - 帳簿価額 140,000円 = 3,000円の為替差益
借方金額貸方金額
売掛金3,000為替差益3,000

売掛金は将来受け取る外貨なので、円安になって円換算額が増えると為替差益になります。

買掛金の場合の考え方

買掛金は将来支払う外貨です。円安になると、支払う円換算額が増えるため不利になります。つまり、買掛金では円安が為替差損につながります。

項目円安になったとき円高になったとき
外貨建売掛金為替差益為替差損
外貨建買掛金為替差損為替差益

為替予約(振当処理)

為替予約とは、将来の決済日に適用する為替レートをあらかじめ金融機関と約束しておく取引です。円安・円高による為替差損益のブレをなくすために使われ、簿記2級では「振当処理」という方法で会計処理します。振当処理は、外貨建取引の金額を予約レート(先物レート)で確定させてしまう処理と考えると理解しやすいです。

パターン1:取引発生と同時に為替予約を締結

商品の売買と同時に為替予約を結んだ場合、最初から予約レートで円換算します。決算時・決済時にレートが変わっても再換算は不要です。

円換算額 = 外貨金額 × 予約レート(先物レート)

たとえば3,000ドルの商品を輸入すると同時に為替予約を締結し、予約レートが1ドル=142円だった場合、買掛金は426,000円(3,000×142円)で確定します。

借方金額貸方金額
仕入426,000買掛金426,000

パターン2:取引発生後に為替予約を締結

取引時にはいったん直物レートで計上し、あとから為替予約を結ぶケースです。予約を締結した時点で、帳簿価額を予約レートに振り当て直し、その差額を為替差損益として処理します(簿記2級では、差額を直々差額・直先差額に分けず、まとめて当期の為替差損益とするのがポイントです)。

9月1日に1,000ドルの売掛金を直物レート1ドル=140円で140,000円計上し、9月15日に予約レート1ドル=142円で為替予約を締結したとします。振当処理では、売掛金を142,000円に振り当て、差額2,000円を為替差益として計上します。以後は決済まで142,000円のまま据え置きます。

振当後の円換算額 142,000円 - 帳簿価額 140,000円 = 2,000円の為替差益
借方金額貸方金額
売掛金2,000為替差益2,000
覚え方:為替予約が絡む問題を見たら、「予約レートで確定させて、それ以降は動かさない」と考えれば整理できます。予約締結が取引と同時か後かだけを見極めましょう。
1級では処理方法が変わる:簿記1級では、この振当処理に代わって「独立処理」(買掛金と為替予約を別々に評価する方法)が原則になります。詳しくは為替予約の振当処理と独立処理の違いで解説しています。

よくあるミス

判断の軸:外貨換算は「自分にとって得か損か」で考えると整理できます。売掛金は外貨を受け取る権利、買掛金は外貨を支払う義務です。

まとめ

⚔ 外貨換算はレートの時点で攻略しよう

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よくある質問

外貨換算会計とは何ですか?
外国通貨で行った取引や外貨建ての債権債務を、日本円に換算して記録する会計処理です。
外貨建取引はいつのレートで換算しますか?
取引発生時は、原則として取引発生日の為替レートで円に換算します。
為替差損益とは何ですか?
取引時・決済時・決算時の為替レートの違いによって生じる損益です。有利な差額は為替差益、不利な差額は為替差損です。
決算時換算では何をしますか?
決算日に残っている外貨建売掛金・買掛金・外貨預金などを決算日レートで換算し、差額を為替差損益で処理します。
為替予約の振当処理とは何ですか?
外貨建取引の円換算額を、あらかじめ約束した予約レート(先物レート)で確定させる処理です。取引と同時に予約を結べば最初から予約レートで計上し、取引後に予約を結べば帳簿価額を予約レートに振り当て、差額を為替差損益として処理します。

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