日商簿記2級 | 公開:2026年5月9日 | 更新日:2026年9月11日
標準原価計算とは?
原価差異・シングルプランを解説【簿記2級】
著者:若葉(関西の大学3回生・ITパスポート・基本情報技術者学習中/簿記1級は中断中)
標準原価計算は、「本来これくらいで作れるはず」という標準原価と、実際にかかった原価を比べて差異を分析する方法です。簿記2級では差異分析が難しく見えますが、最初は「予定と実際のズレを見つける仕組み」と考えると理解しやすくなります。個別・総合原価計算との関係は標準原価計算と実際原価計算の違いで整理しています。
受験生
標準原価計算、有利差異・不利差異のプラスマイナスがどっちがどっちか毎回逆に覚えてしまいます……差異分析の言葉自体も難しく感じます。
若葉(IT資格学習中)
その気持ち、めちゃくちゃわかります。でも実はシンプルで、「標準(理想)-実際」を計算するだけです。実際の方が多くかかっていたら結果はマイナス=損している=不利差異。実際の方が少なく済んでいたらプラス=得している=有利差異。理想と現実、どっちが得したかで考えると迷いません。
受験生
得したか損したかで見るとわかりやすいです!材料費差異が価格差異と数量差異に分かれるのはなぜですか?
若葉(IT資格学習中)
材料費は「単価×数量」で決まるからです。ズレの原因が「単価が高かった(安かった)のか」「使いすぎた(節約できた)のか」を切り分けたいので、2つに分解します。労務費も同じ発想で「賃率×時間」に分けているだけなので、構造は全部同じですよ。
先に結論:標準原価計算は、標準原価と実際原価を比べて「なぜ原価がズレたか」を分析する方法です。材料・労務費・製造間接費の差異を分けて見るのがポイントです。
なぜ標準を先に置くのか
実際にかかった原価だけを見ても、それが基準より多いのか少ないのかは分かりません。先に標準原価を置いてから実際原価と比べると、差額を有利・不利として確認できます。
出典:日本商工会議所「簿記 出題区分表」(2026年9月11日確認)。同表では、日商簿記2級の工業簿記・原価計算に「標準原価計算」が含まれます。
標準原価計算とは
図:標準原価と実際原価の差異を3区分(材料費・労務費・製造間接費)で分析する構造
差異は「標準 − 実際」で計算し、プラスなら有利差異・マイナスなら不利差異。3区分それぞれに価格差異・数量差異があります。
標準原価計算とは、あらかじめ設定した標準原価を使って製品原価を計算し、実際にかかった原価との差額を分析する方法です。
標準原価は、理想論ではなく「通常ならこのくらいで作れるはず」という目標原価です。実際原価と比べることで、材料を使いすぎたのか、作業時間が長すぎたのか、工場費用が多すぎたのかを確認できます。
標準原価と実際原価
| 項目 | 意味 |
| 標準原価 | あらかじめ決めた、製品1個あたりの目標原価 |
| 実際原価 | 実際に材料・労務費・経費として発生した原価 |
| 原価差異 | 標準原価と実際原価の差額 |
原価差異 = 標準原価 - 実際原価
標準より実際が大きければ不利差異、標準より実際が小さければ有利差異です。
標準原価計算の流れ
標準原価を決める:標準価格・標準数量・標準賃率・標準時間などを設定する。
完成品の標準原価を計算する:完成数量に標準原価をかけて製品原価を出す。
実際原価を集計する:実際に発生した材料費・労務費・製造間接費を集める。
原価差異を分析する:標準と実際のズレを、価格・数量・賃率・時間などに分けて確認する。
直接材料費差異
直接材料費差異は、材料について標準と実際のズレを見る差異です。大きく価格差異と数量差異に分けます。
| 差異 | 意味 |
| 価格差異 | 予定より高く買ったか、安く買ったか |
| 数量差異 | 予定より多く使ったか、少なく使ったか |
材料費は「単価 × 数量」なので、ズレも単価のズレと数量のズレに分けて考えます。
直接労務費差異
直接労務費差異は、作業者の賃金について標準と実際のズレを見る差異です。賃率差異と時間差異に分けます。
| 差異 | 意味 |
| 賃率差異 | 予定より時給が高かったか、低かったか |
| 時間差異 | 予定より作業時間が長かったか、短かったか |
労務費は「賃率 × 時間」なので、ズレも賃率のズレと時間のズレに分けます。
製造間接費差異
製造間接費差異は、工場共通費の予定と実際のズレです。簿記2級では、予算差異・操業度差異などが出てくるため少し重く感じます。
ただし入口では、「製造間接費も予定で配賦するため、あとで実際との差額を分析する」と理解できれば十分です。
シングルプランとは
シングルプランとは、仕掛品勘定を標準原価だけで記録し、実際原価との差額を原価差異として処理する方法です。
標準原価計算では、仕掛品・製品・売上原価を標準原価で流し、差異は別に管理します。これにより、予定どおり作れたかどうかを見やすくします。
セルフチェック:有利・不利を自分で判定する
これはStudy Questが作成した確認用の小問です。公式問題や教材問題ではありません。答えを見る前に、次の3つを計算してみてください。
- 製品1個あたりの標準原価:1,250円
- 当月完成品:48個
- 当月の実際原価:58,800円
- 完成品の標準原価はいくらでしょうか。
- 「標準原価 − 実際原価」で差異を出すと、プラス・マイナスのどちらでしょうか。
- この差異は有利差異・不利差異のどちらでしょうか。
答えと計算手順を開く
- 標準原価は 1,250円 × 48個 = 60,000円です。
- 原価差異は 60,000円 − 58,800円 = +1,200円です。
- 実際原価の方が標準原価より少ないため、+1,200円の有利差異です。
検算の順番:標準の合計を出す → 標準から実際を引く → 符号と実際原価の大小を見て有利・不利を読む、の順に確認します。
よくあるミス
- 有利差異と不利差異を逆に判断してしまう
- 材料費差異と労務費差異の分解パターンを混同する
- 標準原価と予定原価のイメージを分けられない
- シングルプランで仕掛品を実際原価で処理してしまう
判断の軸:標準原価計算は「標準より実際がどうズレたか」を見る論点です。計算式を丸暗記する前に、ズレの原因を価格・数量・時間に分ける感覚を持ちましょう。
まとめ
- 標準原価計算は、標準原価と実際原価のズレを分析する方法
- 実際原価が標準原価より大きいと不利差異
- 直接材料費差異は価格差異と数量差異に分ける
- 直接労務費差異は賃率差異と時間差異に分ける
- シングルプランでは仕掛品を標準原価で記録する
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