日商簿記2級 | 公開:2026年5月9日 | 更新日:2026年6月26日
個別原価計算とは?
製造指図書・仕掛品の流れを解説【簿記2級】
著者:若葉(関西の大学3回生・日商簿記1級勉強中)
個別原価計算は、注文ごと・製造指図書ごとに原価を集める方法です。工業簿記の中でも「材料費・労務費・経費をどう製品に集めるか」が一気につながる重要論点です。この記事では、製造指図書、仕掛品、製品、売上原価までの流れを初心者向けに整理します。
受験生
「製造指図書」って言葉が出てきた瞬間、頭が真っ白になりました……。原価を製品ごとに集めるって、具体的に何をどうすればいいんですか?
若葉(簿記1級勉強中)
難しく考えなくて大丈夫です。製造指図書は、いわば注文ごとの「レシート兼集計表」。オーダーメイド家具屋さんが、お客さんごとに「この注文にいくらかかったか」をレシートにまとめていくイメージです。直接材料費・直接労務費・直接経費を、その注文の指図書にどんどん書き込んでいくだけなんですよ。
受験生
なるほど、少しイメージが湧いてきました。でも製造間接費の「配賦」がよく分からなくて、仕掛品・製品・売上原価の流れもごちゃごちゃになります。
若葉(簿記1級勉強中)
製造間接費は「工場全体でかかった共通費」なので、直接費のように一発では割り振れません。だから配賦基準(作業時間など)を使って各指図書に案分するんです。あとは3段階を機械的に追うだけ。「未完成=仕掛品」「完成=製品」「販売=売上原価」。この順番さえ崩さなければ、個別原価計算はパズルのように解けますよ。
先に結論:個別原価計算は「1つひとつの注文や仕事ごとに原価を集める計算方法」です。製造指図書ごとに直接費を集計し、製造間接費を配賦して、製品原価を求めます。
個別原価計算とは
図:注文→製造指図書発行→3費用(直接材料費・直接労務費・製造間接費)集計→完成の流れ
製造指図書に3種類の原価を積み上げていくのが個別原価計算の全て。注文ごとに1枚ずつ発行するのがポイントです。
個別原価計算とは、製品や注文ごとに原価を個別に計算する方法です。オーダーメイド家具、特注機械、建設工事のように、作るものが注文ごとに違う場合に向いています。
簿記2級では、製造指図書という管理表を使って、注文ごとに直接材料費・直接労務費・直接経費・製造間接費を集めます。
総合原価計算との違い
| 項目 | 個別原価計算 | 総合原価計算 |
| 向いている生産形態 | 受注生産 | 大量生産 |
| 原価の集め方 | 製造指図書ごとに集計 | 一定期間の原価をまとめて集計 |
| 例 | 特注品、オーダーメイド品、建設工事 | 食品、日用品、同じ製品の大量生産 |
個別原価計算は「注文ごと」、総合原価計算は「期間ごと」と考えると整理しやすくなります。
製造指図書とは
製造指図書とは、どの製品をどれだけ作るかを指示し、その製品にかかった原価を集計するための表です。個別原価計算では、製造指図書が原価計算の中心になります。
| 製造指図書に集める原価 | 内容 |
| 直接材料費 | その注文の製品に直接使った材料費 |
| 直接労務費 | その注文の製品に直接かかった作業時間の賃金 |
| 直接経費 | その注文の製品に直接ひもづく外注加工賃など |
| 製造間接費 | 配賦基準にしたがって割り当てる工場共通費 |
原価の流れ
個別原価計算では、原価は次のように流れます。ここを図のようにイメージできると、仕訳も理解しやすくなります。
直接費を仕掛品に集める:直接材料費・直接労務費・直接経費を製造指図書ごとに集計する。
製造間接費を配賦する:直接作業時間などの基準で、各製造指図書に製造間接費を割り当てる。
完成したら製品へ振り替える:完成品原価を仕掛品から製品へ移す。
販売したら売上原価へ振り替える:販売した製品の原価を製品から売上原価へ移す。
基本仕訳
直接材料費を消費したとき
仕掛品 50,000/材料 50,000
直接労務費が発生したとき
仕掛品 30,000/賃金 30,000
製造間接費を配賦したとき
仕掛品 20,000/製造間接費 20,000
直接費も製造間接費も、最終的には仕掛品に集めます。個別原価計算では、この仕掛品の内訳を製造指図書ごとに管理するイメージです。
例題で確認
製造指図書No.101について、直接材料費50,000円、直接労務費30,000円、直接経費10,000円、製造間接費配賦額20,000円が発生したとします。
| 項目 | 金額 |
| 直接材料費 | 50,000円 |
| 直接労務費 | 30,000円 |
| 直接経費 | 10,000円 |
| 製造間接費配賦額 | 20,000円 |
| 製造原価 | 110,000円 |
この製造指図書の製造原価は110,000円です。完成したら、仕掛品から製品へ振り替えます。
完成したとき
製品 110,000/仕掛品 110,000
よくあるミス
- 直接費だけを集計して、製造間接費の配賦を忘れる
- 製造指図書ごとの原価と、工場全体の原価を混同する
- 完成前なのに仕掛品から製品へ振り替えてしまう
- 販売していない製品まで売上原価にしてしまう
判断の軸:未完成なら仕掛品、完成したら製品、販売したら売上原価です。この3段階を崩さないことが個別原価計算の土台です。
まとめ
- 個別原価計算は、注文ごと・製造指図書ごとに原価を集める方法
- 受注生産や特注品の原価計算に向いている
- 直接材料費・直接労務費・直接経費は製造指図書へ直接集計する
- 製造間接費は配賦して製造指図書に割り当てる
- 原価は仕掛品 → 製品 → 売上原価の順に流れる
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