日商簿記2級 | 公開:2026年6月30日

【簿記2級】定額法と定率法はなぜ存在するのか?
本質をRPG例えで完全解説

著者:若葉(関西の大学3回生・日商簿記1級勉強中)

著者・若葉からひとこと

こんにちは、若葉です!実は私、大学の講義で減価償却を習ったとき、「毎年同じ定額法だけでいいじゃん!なんでわざわざ計算がめんどくさい定率法なんて作ったんだよ、意味不明……なんじゃこりゃ!」と激しくイライラしました(笑)。
でも、その【存在理由】が分かった瞬間、簿記のパズルが10倍面白くなったんです!今回はその秘密を優しくナビゲートします。
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受験生
受験生
定額法と定率法、公式は覚えたんですけど「結局なんで2種類もあるの?」というのがずっとモヤモヤしてます。丸暗記のまま突っ込んで大丈夫でしょうか……。
若葉
若葉(簿記1級勉強中)
そのモヤモヤ、すごく大事な気づきです。定額法は「宿屋のベッド」——毎晩同じだけ回復する安定装備。定率法は「魔導アーマー」——最初はガンガン力を発揮するけど、使うたびに残りの力に対して同じ割合で消耗していく装備。資産のタイプによって、どっちの回復(費用配分)カーブが実態に合うかが違うだけなんです。
受験生
受験生
例え、面白いです!でも定率法の計算、1年目はできるのに2年目でいつも答えがズレるんです……。
若葉
若葉(簿記1級勉強中)
それ、みんなが引っかかる「2年目の罠」です。1年目は取得原価に率をかければいいですが、2年目からは「もう消耗した分(累計額)を引いた残り」に率をかけないといけません。この記事でその罠を先回りして潰しておけば、本番で絶対に間違えなくなりますよ。
この記事で分かること:①定額法・定率法がなぜ2種類あるのかの本質(RPG例え) ②試験で絶対引っかかる「2年目の定率法の罠」の先回り解説 ③下書きの手順(電卓を持つ前にやること)

まず図解で全体像をつかむ

定額法と定率法の費用の減り方の違いを図解。定額法は毎年均等、定率法は初期ほど大きく年々減少。

図:取得原価100万円・5年間の減価償却費の比較(定額法:毎年20万円均等/定率法40%:40万→24万→14万→9万→5万と加速減少)

そもそも、なぜ2つの方法があるのか?

簿記2級を学び始めると「定額法」と「定率法」という2つの減価償却方法が出てきます。「どっちかひとつでよくない?」と思うのは当然です。でも、この2つが存在する理由にはちゃんとした経営の知恵と現実の問題が隠れています。

RPGの世界で考えると、一気に腑に落ちます。

定額法(ていがくほう)

🛏️ 宿屋のベッド型 — 「均等くん」

RPGの宿屋にあるベッドを想像してください。1年目も3年目も5年目も、同じペースで少しずつ傷んでいきます。特別な技術革新が起きるわけでもなく、毎日コツコツと劣化していく。

これが「建物」「構造物」「工具・器具・備品の一部」のイメージです。10年後に突然「新型の宿屋ベッド」が出て今のベッドの価値がゼロになる……なんてことは起きません。だから毎年おなじ金額を費用として認識する「定額法」が自然に合っているんです。

定額法の式:(取得原価 − 残存価額) ÷ 耐用年数 = 毎期の減価償却費
簡単バージョン(残存価額ゼロ):取得原価 ÷ 耐用年数 = 毎期の減価償却費

この式の最大の特徴は「累計額(るいけいがく)を一切見ない」こと。何年目であろうと、答えは常に同じ金額です。

定率法(ていりつほう)

⚙️ 魔導アーマー型 — 「加速くん」

こんどはRPGの最新魔導アーマーを想像してください。装備した1年目は性能MAXで、敵に圧勝。お城を守りまくってガンガン稼いでくれます。でも、翌年には新型が発売されて今のモデルの価値はガクンと落ちる……。

これが「パソコン」「機械装置」「車両」のイメージです。技術革新が早い資産は、1〜2年目が最も稼働率・価値ともに高く、年を追うごとに陳腐化してしまう

ここで経営の知恵が登場します。「価値が早く落ちるなら、費用も早いうちに大きく引いてしまえ!」——稼げているうちに費用を先取りすることで、税金の支払いを早期に抑えてキャッシュを手元に残せます。これが定率法が存在する本当の理由です。

定率法の式:未償却残高(みしょうきゃくざんだか) × 償却率 = 毎期の減価償却費
未償却残高の求め方:取得原価 − 前期末の減価償却累計額

ポイントは「未償却残高が毎年変わる」こと。前の年に引いた分だけ、次の年の計算のベースが小さくなっていきます。だから費用も年々減っていくのです。

使い分けのまとめ(試験では問題文に「定額法で計算せよ」「定率法で計算せよ」と指示がある):
試験では問題文で必ずどちらの方法を使うか指定されます。自分で選ぶ必要はありません。指定された方法を確認したら、その方法の計算手順だけに集中しましょう。
種類イメージ向いている資産費用の特徴
定額法宿屋のベッド型建物・構造物・工具器具備品毎年同額・シンプル
定率法魔導アーマー型機械装置・パソコン・車両初期ほど大きく、年々減少

試験で迷わない下書き手順

ここからが試験攻略の本番です。「知っている」と「解ける」は別物です。どちらの方法でも、電卓を叩く前に手書きの下書きをすることが最大のミス防止策になります。

定額法の下書き手順

定額法は最もシンプルです。累計額は完全に無視して、ただ割り算するだけ。

問題文から「取得原価」と「耐用年数」を読み取る
残存価額が指定されている場合は「取得原価 − 残存価額」を先に計算する。
2級では残存価額ゼロ(新定額法)の問題が主流なので、取得原価をそのまま使うケースが多い。
取得原価 ÷ 耐用年数 = 減価償却費
例:取得原価600,000円・耐用年数5年・残存価額ゼロ
→ 600,000 ÷ 5 = 120,000円(1年目も5年目も同じ!)
仕訳を切る
借方金額貸方金額
減価償却費120,000減価償却累計額120,000
定額法の鉄則:「前期末の累計額がいくらか」は計算に一切関係ありません。何年目の問題でも「取得原価 ÷ 耐用年数」を計算するだけ。見落としや思い違いをする心配がないのが定額法の最大の強みです。

定率法の下書き手順(「引いてから掛ける」が呪文!)

定率法は「まず引き算、次に掛け算」の2ステップが絶対に必要です。電卓を持つ前に紙に書くことを習慣にしてください。

問題文から「取得原価」「前期末の減価償却累計額」「償却率」を読み取る
「前期末の累計額」は問題に書いてある。なければ自分で計算する(前期分の費用を足す)。
【引き算】取得原価 − 前期末の累計額 = 未償却残高を求める
例(2年目):取得原価1,000,000円、前期末累計額400,000円
→ 1,000,000 − 400,000 = 未償却残高 600,000円
この「引き算」が毎年のスタートライン。絶対に省略禁止!
【掛け算】未償却残高 × 償却率 = 今期の減価償却費
→ 600,000 × 40% = 240,000円(2年目の答え)
仕訳を切る
借方金額貸方金額
減価償却費240,000減価償却累計額240,000
⚠ 2年目の定率法・最頻出の罠:「また取得原価 × 率」は絶対NG!

定率法の問題で受験生が最も多く失点するのが、2年目以降も「取得原価 × 償却率」の計算を繰り返してしまうパターンです。

✗ NG(2年目):1,000,000 × 40% = 400,000円 ← 1年目と同じ計算になっている
✅ 正解(2年目):(1,000,000 − 400,000) × 40% = 240,000円

「定率法は毎年ベースが変わる」これを体に染み込ませるために、問題を解くたびに必ず「引き算→掛け算」の2ステップを紙に書く練習をしてください。「まず引く、次に掛ける」を試験中の呪文にしましょう。

定率法の年数別まとめ表(取得原価100万・償却率40%)

年度取得原価前期末累計額未償却残高× 40%減価償却費
1年目1,000,00001,000,000× 0.4400,000
2年目1,000,000400,000600,000× 0.4240,000
3年目1,000,000640,000360,000× 0.4144,000
4年目1,000,000784,000216,000× 0.486,400
5年目1,000,000870,400129,600× 0.451,840

※実際の定率法には「償却保証額」「改定償却率」も存在しますが、簿記2級の試験では問題文に従えばOKです。

まとめ

出題範囲改定の注意:2027年度試験からの出題区分改定により、定率法による減価償却は2級から3級へ移行することが商工会議所の暫定区分表で決まっています。2026年度までの試験では本記事の内容がそのまま2級の範囲ですが、2027年度以降に受験する方は、定率法が3級の範囲になる点に注意してください(受験する年度の最新の出題区分表を必ず確認しましょう)。

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よくある質問

定額法と定率法、どちらが簿記2級でよく出ますか?
どちらも出題されます。ただし計算が複雑な定率法は、第2問・第3問の総合問題で失点につながりやすいです。定率法の「未償却残高 × 償却率」の手順を毎回下書きで書く習慣をつけておくと安心です。
「残存価額」がある場合の定額法はどう計算しますか?
(取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数 で計算します。例:取得原価600,000円・残存価額60,000円・耐用年数5年 → (600,000 − 60,000) ÷ 5 = 108,000円。最近の日商簿記2級では残存価額ゼロの「新定額法」が主流ですが、問題文を必ず確認してください。
定率法で「期中」(年度途中)に取得した場合はどうなりますか?
定率法でも月割計算が必要です。「未償却残高 × 償却率 × 月数/12」で求めます。1年目の期中取得で取得月が7月なら残り6ヶ月分(×6/12)になります。2年目以降は月割ではなく通常の計算(未償却残高 × 償却率)に戻ります。
定率法で「償却率」が問題文に書いていない場合はどうすればいいですか?
簿記2級の試験では、定率法を使う問題には必ず「償却率〇%」か「定率法の償却率は□□とする」という指定が入ります。自分で償却率を計算する必要はありません。問題文を読み飛ばさないよう、最初に確認する癖をつけてください。
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