日商簿記2級 | 公開:2026年5月9日

簿記2級の固定資産とは?
減価償却・除却・売却の仕訳を解説

著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)

大谷
大谷 一輝 より

こんにちは、大谷です!
実は、今回紹介する固定資産の「定率法」や「期中売却」という論点は、僕が大学の講義内で初めて学んだとき、「うわっ、なんじゃこりゃ……!」と頭を抱えて激しくつまずいた大嫌いな論点でした(笑)。
だからこそ、当時の僕と同じように悩んでいる皆さんに、どこよりも直感的にパズル感覚で理解してもらえるよう、僕なりの分かりやすい攻略法をお届けします!

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固定資産は、簿記3級でも学ぶ論点ですが、簿記2級では定率法、除却、廃棄、売却、買換えに近い判断まで問われやすくなります。ポイントは「取得原価を決める」「使った分を減価償却する」「手放すときに帳簿価額を消す」の3段階です。

先に結論:固定資産は「買ったとき」「決算で減価償却するとき」「なくなった・売ったとき」に分けて考えると整理できます。売却・除却では、まず帳簿価額を出してから損益を判断します。

固定資産とは

固定資産の取得・減価償却・除却売却のライフサイクル
図:取得(付随費用込みの取得原価)→毎期償却(定額法・定率法)→除却・売却(損益算出)の全フロー

固定資産は「取得原価をどう決めるか」「毎期の償却をどう計算するか」「売却時の損益をどう出すか」の3段階を押さえれば得点できます。

固定資産とは、建物、備品、車両運搬具、機械装置など、長期間使うために保有する資産です。販売目的の商品とは違い、事業で使い続けるために持っています。

固定資産は、購入した年だけでなく複数年にわたって役立つため、購入額をすぐ全額費用にせず、使用期間に分けて費用化します。この費用化が減価償却です。

固定資産の処理の全体像

取得:購入代価と付随費用を合わせて取得原価を決める。
決算:当期に使った分を減価償却費として費用にする。
売却・除却:固定資産と減価償却累計額を消し、差額を損益にする。

取得原価に含めるもの

固定資産の取得原価には、購入代価だけでなく、その資産を使える状態にするための付随費用も含めます。

項目取得原価に含めるか
購入代価含める
購入手数料含める
据付費・試運転費含める
登録料・運送費使用可能にするためなら含める
修繕費通常の維持管理なら費用処理

取得時の仕訳

備品500,000円を購入し、据付費20,000円とともに現金で支払った場合、取得原価は520,000円です。

借方金額貸方金額
備品520,000現金預金520,000

減価償却とは

減価償却とは、固定資産の取得原価を、使用する期間にわたって費用配分する処理です。簿記2級では定額法と定率法を中心に押さえます。

方法特徴
定額法毎年同じ金額を減価償却費にする
定率法期首帳簿価額に一定率をかけるため、初期ほど費用が大きい

定額法の計算

取得原価500,000円、残存価額0円、耐用年数5年の場合、定額法の減価償却費は毎年100,000円です。

減価償却費 = (取得原価 - 残存価額) ÷ 耐用年数
借方金額貸方金額
減価償却費100,000減価償却累計額100,000

定率法の計算

定率法では、期首帳簿価額に償却率をかけます。取得原価500,000円、期首減価償却累計額100,000円、償却率40%の場合を例に、なぜ「引き算が最初」なのかから順番に確認しましょう。

定率法の根本ルール:「残りの価値」に率をかけるパズル
定率法は、まだ費用にしていない【残りの価値=未償却残高】に償却率をかけるルールです。「取得したときの全額(取得原価)」ではなく、「これまで費用にした分(累計額)を引いた残り」が計算のスタート地点になります。だから必ず、最初に累計額を引き算するパズルになるんです。
STEP ① 未償却残高を出す(引き算が最初!)
取得原価 500,000 - 減価償却累計額 100,000 = 未償却残高 400,000円

STEP ② 未償却残高に償却率をかける
400,000円 × 40% = 当期減価償却費 160,000円
⚠ 最頻出ミス:「取得原価 × 償却率」は絶対NG!
定率法で「500,000 × 40% = 200,000」としてしまうのが最もよくあるミスです。定率法は未償却残高(累計額を引いた後の金額)に率をかけます。定額法との混同に注意してください。
借方金額貸方金額
減価償却費160,000減価償却累計額160,000

除却・廃棄とは

除却とは、固定資産を事業で使わなくなり、帳簿から外す処理です。廃棄した場合や、使用をやめて処分を待つ場合に出てきます。

除却では、固定資産の取得原価と減価償却累計額を消し、帳簿価額が残っていれば固定資産除却損として処理します。

除却の仕訳

取得原価500,000円、減価償却累計額420,000円の備品を除却した場合、帳簿価額80,000円が損になります。

借方金額貸方金額
減価償却累計額420,000備品500,000
固定資産除却損80,000

売却の考え方

固定資産を売却したときは、売却額と帳簿価額を比べます。売却額が帳簿価額より高ければ固定資産売却益、低ければ固定資産売却損です。

帳簿価額 = 取得原価 - 減価償却累計額
売却損益 = 売却額 - 帳簿価額

売却の仕訳

取得原価500,000円、減価償却累計額300,000円の備品を150,000円で売却し、代金は現金で受け取ったとします。帳簿価額は200,000円なので、50,000円の売却損です。

借方金額貸方金額
現金預金150,000備品500,000
減価償却累計額300,000
固定資産売却損50,000

売却額が250,000円なら、帳簿価額200,000円との差額50,000円が固定資産売却益になります。

期中売却に注意

期中に固定資産を売却した場合、売却日までの減価償却費を月割りで計上してから売却仕訳を作ります。この「2段階の順番」を守るだけで、どんな問題でも確実に解けるようになります。

✅ 期中売却の黄金ルール:「月割で減価償却→それから売却」の2ステップ!
売却日が期中の場合、いきなり売却仕訳を書いてはいけません。期首から売却日までの減価償却費を一番最初に計算して計上してから、売却仕訳を作るのが正しい順番です。

月割計算の手順(具体例)

取得原価600,000円・定額法・耐用年数5年・残存価額0円。期首時点の減価償却累計額240,000円の備品を、当期の期首から4ヶ月後に250,000円(現金)で売却した場合。

月割の減価償却費を計算する(一番最初にやること!)
年間償却費:600,000 ÷ 5年 = 120,000円
当期月割:120,000 × 4ヶ月 ÷ 12ヶ月40,000円
減価償却費の仕訳を先に切る
借方:減価償却費 40,000 / 貸方:減価償却累計額 40,000
売却時の帳簿価額を確認する
600,000 − (240,000 + 40,000) = 帳簿価額 320,000円
売却仕訳を切る(売却損:250,000 − 320,000 = △70,000)
借方:現金250,000 + 減価償却累計額280,000 + 固定資産売却損70,000 / 貸方:備品600,000

売却時の仕訳(STEP ④)

借方金額貸方金額
現金預金250,000備品600,000
減価償却累計額280,000
固定資産売却損70,000
📌 累計額は「月割分も込みで280,000円」:売却仕訳の減価償却累計額は、期首累計240,000円 + 月割分40,000円 = 合計280,000円です。STEP①②で先に計上した月割分を忘れず足してください。

固定資産の「買換え」は合体パズル!

固定資産の買換え仕訳の合体パズル図解

簿記2級で受験生を最も悩ませるのが、古い固定資産を下取りに出して新しい固定資産を手に入れる「買換え(かいかえ)」の論点です。問題文に大量の数字が出てくるためパニックになりやすいですが、本質は【古い資産の売却】と【新しい資産の購入】がガチャンと合体しただけのパズルです。

✅ 買換えの黄金ルール:「下取り価格 = 売却額」と見立てる!
古い資産の下取り価格(引き取ってもらった値段)は、実質的に「その金額で古い資産を売った(売却額)」のと同じ意味になります。この考え方1つで買換えの仕訳が一気にシンプルになります。

買換えの4ステップ手順(具体例)

「取得原価500,000円・期首累計額300,000円(帳簿価額200,000円)の古い備品」を【下取り価格120,000円】として引き取ってもらい、新たに「800,000円の新しい備品」を購入した。差額は後日支払う(未払金)とする(※期首の買換えとする)。

【古い資産と累計額を消す】
いつも通り、古い備品500,000を貸方(右)へ、累計額300,000を借方(左)に書く。
【新しい資産を登場させる】
新しく手に入った備品800,000を借方(左)にどかんと書く。
【売却損益を計算する】
古い資産の帳簿価額は200,000円(500,000 − 300,000)。これを120,000円で下取り(売却)してもらったので、80,000円の損になる。借方に固定資産売却損 80,000と書く。
【最後の差額を未払金にする】
新しい備品代800,000円から、下取り代金120,000円を差し引いた残り680,000円を貸方に未払金として計上してパズルが完成!

買換え時の仕訳(STEP ①〜④)

借方金額貸方金額
減価償却累計額300,000備品(古)500,000
備品(新)800,000未払金680,000
固定資産売却損80,000
⚠ 試験に出る超重要罠:古い備品と新しい備品を相殺してはいけない!

「差額の300,000円だけ備品を増やせばいいや」と借方に備品 300,000などと書くのは絶対NGです!
古い資産の歴史(取得原価と累計額)を完全に消し去り、新しい資産の取得原価をピカピカの状態で登場させるのが簿記2級の大原則です。「合体だけど、内訳はちゃんと全部書く」を徹底してください。

よくあるミス

まとめ

⚔ 固定資産は「帳簿価額」で攻略しよう

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よくある質問

固定資産とは何ですか?
建物、備品、車両運搬具など、長期間使うために保有する資産です。
減価償却とは何ですか?
固定資産の取得原価を、使用する期間にわたって費用配分する処理です。
固定資産の除却とは何ですか?
使わなくなった固定資産を帳簿から外す処理です。帳簿価額が残っていれば固定資産除却損になります。
固定資産売却損益はどう計算しますか?
売却額から帳簿価額を差し引いて計算します。売却額が帳簿価額より高ければ売却益、低ければ売却損です。

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