日商簿記3級 | 公開:2026年5月7日
株式会社の仕訳を完全解説
株式発行・剰余金の配当・利益準備金を例題3パターンで解説【日商簿記3級】
著者:大谷 一輝(大阪経済大学3回生・日商簿記1級勉強中)
この記事でわかること(5秒まとめ)
- 株式発行——払込金額の1/2以下を資本準備金、残りを資本金に計上(問題文の指示に従う)
- 剰余金の配当——繰越利益剰余金を減らし、配当金+利益準備金の積立を同時に処理
- 利益準備金の積立額——配当額×1/10(上限:資本金×1/4 − 準備金合計)
- 当期純利益は決算時に損益勘定から繰越利益剰余金へ振り替える
こんにちは、大谷です!実は、初めて簿記で「株式会社の取引」を習ったとき、資本金・資本準備金・利益準備金・繰越利益剰余金と、漢字だらけで名前の似た科目が一気に押し寄せてきて、「うわっ、なんじゃこりゃ……!」と脳内が完全にパニックになりました(笑)。
でも実は、この単元は「外からの元手(株主が入れてくれたお金)」と「中での稼ぎ(会社が自分で稼いだお金)」の2グループに分ければ、一瞬でスッキリ整理できるゲームだったんです。資本金・資本準備金は元手グループ、利益準備金・繰越利益剰余金は稼ぎグループ——この2択さえ意識すれば、どの科目がどう動くかが手に取るようにわかるようになります。当時の僕と同じようにパニックになっている皆さんに、この裏技をそのままお届けします!
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株式会社では、株式を発行して資金を集め、利益を株主に配当します。簿記3級では株式発行・剰余金の配当・利益準備金の積立の3つの処理を押さえれば十分です。
受験生
株式会社の仕訳って「資本金・資本準備金・繰越利益剰余金・利益準備金」と科目が多くて整理できません。
大谷(簿記1級勉強中)
焦らなくて大丈夫。整理のポイントは「外から入ってきたお金(株主からの出資)→資本金・資本準備金」「内部で稼いだ利益→繰越利益剰余金・利益準備金」という区分です。出資と利益が混ざらないようにするための仕組みです。
受験生
配当のときに利益準備金も同時に積まないといけないのがわかりにくいです。なぜ配当するだけなのに、わざわざ別の積立まで発生するんですか?
大谷(簿記1級勉強中)
そこ、すごく大事なポイントです!利益準備金は「配当しすぎて会社の体力(現金や資産)がガリガリに削られて倒産しないための、法律で決められた強制積立ルール」なんです。もし稼いだ利益を全部配当で吐き出してしまうと、会社に何も残らず、ちょっとした業績悪化ですぐ経営が傾いてしまいます。だから配当するたびに、その10分の1を会社の中に強制的に貯金箱(利益準備金)として残しておく——これが会社を守るためのブレーキの役割なんです。
受験生
なるほど、株主に気持ちよく配りすぎて会社が空っぽになるのを防ぐブレーキなんですね!それなら「配当額×1/10」という数字にもきちんと意味があるとわかって、覚えやすくなりました。
大谷(簿記1級勉強中)
その理解ができれば完璧です!あとは「資本金の1/4に達するまで」という上限だけ覚えれば、計算パターンは1つだけ。試験では必ず対応できるようになりますよ!
🏢 ① 純資産の構成を把握する——資本金・資本準備金・繰越利益剰余金・利益準備金の違い
図解の左側を見てください。純資産は大きく「株主の元手(資本金・資本準備金)」と「会社が稼いだ利益(利益準備金・繰越利益剰余金)」の2グループに分かれます。右側のフローの通り、繰越利益剰余金は毎期の純利益で増え、配当や積立で減ります——この増減の流れが株式会社の仕訳の核心です。
株式会社の純資産は主に3つで構成されます。
資本金
株主からの出資のうち資本金として計上した金額(払込金額の1/2以上)
資本準備金
株式発行時に資本金に計上しなかった残りの払込金額(払込金額の1/2以下)
利益準備金
配当するたびに法律で積み立てが必要な準備金
繰越利益剰余金
累積した利益のうち配当や準備金以外に残った分
「繰越利益剰余金」が試験のキーポイント
配当や利益準備金の積立では「繰越利益剰余金」を減らします。増減の仕訳をしっかり覚えましょう。
📝 ② 株式を発行したときの仕訳——払込金額の1/2以下を資本準備金、残りを資本金へ
会社設立時や増資時に株式を発行し、株主から出資金を受け取ります。会社法の規定により、払込金額の1/2以上を資本金、残りを資本準備金に計上します。問題文で指示がなければ全額資本金とします。
例題①(全額資本金)
会社設立にあたり、株式100株を1株 ¥1,000 で発行し、全額を当座預金に入金した。
仕訳(全額資本金)
当座預金100,000/資本金100,000
例題②(資本金・資本準備金に分割)
株式100株を1株 ¥1,000 で発行し、全額を当座預金に入金した。払込金額の1/2を資本金、残りを資本準備金とする。
仕訳(資本準備金あり)
当座預金100,000/資本金50,000
資本準備金50,000
(資本金:100,000 × 1/2 = 50,000 資本準備金:残り50,000)
資本金と資本準備金の分け方
問題文に「払込金額の1/2を資本金、残りを資本準備金とする」などの指示がある場合はその通りに分けます。指示がない場合は全額を資本金として処理します(払込金額の1/2以上が資本金になるというルール)。
💰 ③ 剰余金の配当と利益準備金の積立——配当のたびに10分の1を強制積立する理由
株主総会で配当が承認されると、繰越利益剰余金を減らして「未払配当金(負債)」と「利益準備金」に振り替えます。
利益準備金の積立額の計算ルール——「配当額×1/10」と上限額の求め方
会社法では、配当するたびに配当額の1/10を利益準備金として積み立てることが義務づけられています。ただし、資本金の1/4に達したら積立不要です。
繰越利益剰余金(減少額)配当額 + 準備金積立額
未払配当金(負債)配当額
利益準備金(純資産)配当額 × 1/10
例題②
株主総会で繰越利益剰余金から ¥500,000 の配当を行うことが承認された。利益準備金の積立額は配当額の1/10とする。
仕訳(配当の承認時)
繰越利益剰余金550,000/未払配当金500,000
利益準備金50,000
(利益準備金:500,000 × 1/10 = 50,000 / 繰越利益剰余金:500,000 + 50,000 = 550,000)
仕訳(配当の支払時)
未払配当金500,000/当座預金500,000
承認時と支払時で2段階に分けて仕訳する!
株主総会で承認されたとき → 「未払配当金」(負債)を立てる
実際に支払ったとき → 「未払配当金」を取り崩す
📊 ④ 当期純利益の振替(決算整理)——損益勘定から繰越利益剰余金へ振り替える仕訳
決算で当期純利益が確定すると、損益勘定から繰越利益剰余金へ振り替えます。
例題③
当期純利益 ¥800,000 を損益勘定から繰越利益剰余金に振り替えた。
仕訳
損益800,000/繰越利益剰余金800,000
当期純損失のときは逆になります。
当期純損失の場合
繰越利益剰余金xxx/損益xxx
🔄 ⑤ 繰越利益剰余金の増減フロー——増える場面・減る場面を整理する
繰越利益剰余金は当期純利益の振替で増加し、配当・利益準備金の積立で減少します。
増加:純利益500,000円を振替(決算時)
損益500,000/繰越利益剰余金500,000
減少:配当300,000円・利益準備金30,000円を決議(株主総会)
繰越利益剰余金330,000/未払配当金300,000
利益準備金30,000
繰越利益剰余金の残高=前期残高+当期純利益−配当−利益準備金
この残高がB/Sの純資産の部に計上されます。利益準備金は資本金の1/4に達するまで配当のたびに積立義務があります(積立額は配当金の1/10)。
⚠️ ⑥ よくある間違い——株式会社の仕訳で混乱しやすいポイントと対処法
❌ よくある間違いパターン
① 株式発行で全額資本金にしてしまう(資本準備金指示があるのに)
誤:当座預金100,000 / 資本金100,000
正:当座預金100,000 / 資本金50,000・資本準備金50,000
② 中間納付を「法人税等(費用)」で計上してしまう
誤:法人税等60,000 / 現金60,000
正:仮払法人税等60,000(資産)/ 現金60,000
(確定前なので費用計上はまだ早い!)
③ 当期純損失のとき振替仕訳の向きを間違える
誤:損益 / 繰越利益剰余金
正:繰越利益剰余金 / 損益
(損失のとき繰越利益剰余金が減る)
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よくある質問
株式発行時の資本金はいくらになるの?
問題文の指示によって異なります。「払込金額の1/2を資本金、残りを資本準備金とする」という指示があればその通りに分けます。指示がない場合は払込金額の全額を資本金として処理します。例えば100株を@1,000円で発行した場合、指示なしなら資本金100,000円・資本準備金0円です。
配当するたびに利益準備金を積み立てる必要があるの?
会社法の規定により、配当するたびに配当額の1/10を利益準備金として積み立てる義務があります。ただし、利益準備金と資本準備金の合計が資本金の1/4に達したら、それ以上の積立義務はなくなります。3級の試験では「資本金の1/4に達するまで配当の1/10を積み立てる」という計算が頻出です。
繰越利益剰余金が増えるのはいつ・減るのはいつ?
繰越利益剰余金は、決算で当期純利益が確定したときに「損益 / 繰越利益剰余金」の仕訳で増加します。一方、株主総会で配当と利益準備金の積立が承認されたときに「繰越利益剰余金 / 未払配当金・利益準備金」の仕訳で減少します。当期純損失の場合は逆仕訳(繰越利益剰余金 / 損益)で減少します。
📋 まとめ:株式会社の取引 早見表
株式発行(全額資本金)当座預金など / 資本金
株式発行(分割指示あり)当座預金など / 資本金(1/2以上)+資本準備金(残り)
配当の承認繰越利益剰余金 / 未払配当金 + 利益準備金
準備金の積立額配当額 × 1/10(資本金1/4まで積立義務)
配当の支払未払配当金 / 当座預金
当期純利益の振替損益 / 繰越利益剰余金
当期純損失の振替繰越利益剰余金 / 損益