日商簿記2級 | 公開:2026年7月9日 | 更新日:2026年9月5日
繰延税金資産と繰延税金負債の違いがわからない人へ
「将来の税金」からスッキリ整理する図解ガイド
著者:若葉(関西の大学3回生・ITパスポート・基本情報技術者学習中/簿記1級は中断中)
この記事でわかること(5秒まとめ)
- どちらも税効果会計で生まれる「将来の税金の調整額」——だから混同しやすい
- 本質の違いは将来の税金が減るか、増えるか——資産は減る、負債は増える
- 繰延税金資産は将来減算一時差異から、繰延税金負債は将来加算一時差異から生まれる
- 「税金の前払いなら資産」「税金の未払いなら負債」と考えると直感的に判断できる
こんにちは、若葉です!
税効果会計を勉強していて、「繰延税金資産」と「繰延税金負債」が出てきたとき、「名前が対になってるのはわかるけど、結局どっちが資産でどっちが負債なんだっけ……」と毎回混乱していました。問題を解くたびに「あれ、このケースはどっちだった?」と教科書のページを行ったり来たりしていた記憶があります。
でも実は、判断基準はたった1つ。「将来の税金が減るか、増えるか」——これだけです。今日はこのシンプルな軸を、一緒に整理していきましょう!
この記事で整理した内容から、次の学習で確認することを1つ選び、記録に残してみてください。
受験生
繰延税金資産と繰延税金負債、名前が似てるうえに、どっちがどんなときに出てくるのか毎回忘れてしまいます……。丸暗記するしかないですか?
若葉(IT資格学習中)
丸暗記しなくて大丈夫です。見るのは「将来の税金が減るか、増えるか」の1点だけ。今期、税法上は認められなくて多めに税金を払った分は、将来その分が返ってくるイメージなので「資産」。逆に、今期は税金を少なめに払った分は、将来追加で払うことになるので「負債」です。
受験生
「多く払った分は資産、少なく払った分は負債」……なんだか税金の前払い・未払いみたいですね!
若葉(IT資格学習中)
まさにその感覚です!「税金の前払い=資産」「税金の未払い=負債」——これは他の勘定科目でも同じ発想ですよね。貸倒引当金の損金不算入や減価償却超過額は資産側、その他有価証券の評価差益は負債側になることが多いパターンです。具体例とセットで覚えておくと、本番でも迷いません。
❓ 将来の税金への影響の違い——「減るなら資産」「増えるなら負債」
繰延税金資産と繰延税金負債は、どちらも税効果会計によって生まれる勘定科目ですが、将来の税金に与える影響がまったく逆です。この1点を押さえるだけで、他のすべての違いが理解できます。
将来の税金が減る
繰延税金資産(くりのべぜいきんしさん)
→ 将来減算一時差異から生じる
今期、会計上より税法上の所得が多く税金を多めに払った分、将来その分だけ税金が減る。
将来の税金が増える
繰延税金負債(くりのべぜいきんふさい)
→ 将来加算一時差異から生じる
今期、会計上より税法上の所得が少なく税金を少なめに払った分、将来その分だけ税金が増える。
📝 ① 繰延税金資産が発生するときの仕訳——貸倒引当金の例
例題
貸倒引当金の損金不算入額が100,000円あり、法定実効税率が30%だった。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 繰延税金資産 | 30,000 | 法人税等調整額 | 30,000 |
ポイント:会計上はすでに費用(貸倒引当金繰入)にしたのに、税法上はまだ損金と認められていません。今期は税金を多めに払っている状態なので、将来その分が戻ってくる「繰延税金資産」を計上します。
💰 ② 繰延税金負債が発生するときの仕訳——その他有価証券の例
例題
その他有価証券(取得原価500円)の期末時価が600円になった。法定実効税率は30%。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| その他有価証券 | 100 | 繰延税金負債 | 30 |
| | その他有価証券評価差額金 | 70 |
ポイント:評価差益100円のうち、将来売却したときに課税される分(100円×30%=30円)を繰延税金負債として先に計上します。将来、税金の支払いが増える見込みがあるからです。
🔍 ③ 見分け方の早見表——問題文のこの言葉を探す
| 状況 | 勘定科目 | 理由 |
| 貸倒引当金の損金不算入 | 繰延税金資産 | 会計上は費用済みだが税法上は未認定=将来税金が減る |
| 減価償却費の償却限度超過額 | 繰延税金資産 | 同上(超過分は将来の損金として認められる) |
| その他有価証券の評価差益(時価>帳簿価額) | 繰延税金負債 | 将来売却時に課税される含み益がある |
| 積立金方式の圧縮記帳 | 繰延税金負債 | 将来、圧縮した分の税金を追加で払う |
その他有価証券は評価差損の場合、逆に繰延税金資産になる:時価が帳簿価額より低い場合(評価差損)は、将来の税金が減る側になるため、繰延税金資産を計上します。「評価差益なら負債、評価差損なら資産」と、プラスマイナスで覚えると迷いません。なお積立金方式の圧縮記帳については
直接減額方式との違いで詳しく解説しています。
📊 ④ 両方発生したら?——相殺表示のルール
繰延税金資産と繰延税金負債が同時に発生した場合、貸借対照表上ではそれぞれを両建てで表示するのではなく、原則として相殺して表示します。
相殺表示のイメージ:繰延税金資産100円・繰延税金負債30円が同時に発生した場合、差額の70円を「繰延税金資産」として貸借対照表に1本で表示します(同一の納税主体内の場合)。個別に2つ並べて表示するわけではありません。
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📋 まとめ:繰延税金資産 vs 繰延税金負債 早見表
将来の税金への影響資産=減る/負債=増える
生じる一時差異資産=将来減算一時差異/負債=将来加算一時差異
直感的なイメージ資産=税金の前払い/負債=税金の未払い
よくある発生例資産=貸倒引当金・減価償却超過額/負債=その他有価証券評価差益
両方発生した場合貸借対照表上で相殺して表示する