日商簿記3級 | 公開:2026年7月9日 | 更新日:2026年8月25日
貸付金と売掛金の違いがわからない人へ
発生原因からスッキリ整理する図解ガイド
著者:若葉(関西の大学3回生・ITパスポート・基本情報技術者学習中/簿記1級は中断中)
この記事でわかること(5秒まとめ)
- 両方とも「将来お金を受け取る権利(資産)」——だから見た目が似ていて混同しやすい
- 本質の違いは発生原因——売掛金は「商品・サービスの掛け売り」、貸付金は「お金そのものの貸し付け」
- 貸付金だけ1年を超えると固定資産(長期貸付金)になる——売掛金は常に流動資産(※この区分は2級で学ぶ発展知識)
- 貸付金には受取利息が発生することが多いが、売掛金には原則ない
こんにちは、若葉です!
私自身、簿記の勉強を始めたばかりの頃、「売掛金も貸付金も、どっちも“将来お金がもらえる権利”でしょ? だったら同じようなものじゃないの?」と本気で混同していました。テキストにはサラッと1行ずつしか書いてなくて、「結局この2つ、何がどう違うんだ……」とモヤモヤしたまま次のページに進んでしまった記憶があります。
でも実は、この2つを見分ける方法はたった1つ。「商品・サービスが動いたか、お金そのものが動いただけか」——この発生原因の違いさえ押さえれば、資産区分も利息の有無も、芋づる式に理解できるようになります。今日はそのシンプルな軸を、一緒に整理していきましょう!
この記事で整理した内容から、次の学習で確認することを1つ選び、記録に残してみてください。
受験生
売掛金と貸付金って、どっちも「後でお金がもらえる」資産ですよね? 問題を解いていても、正直どっちを使えばいいのか迷うことがあります。
若葉(IT資格学習中)
その感覚、すごくよくわかります!たしかにどちらも「将来お金を受け取る権利」という意味では資産としての性質は同じです。でも生まれた理由がまったく違うんです。売掛金は「商品やサービスを売った代金」、貸付金は「お金そのものを貸した」ことから生まれます。ここが唯一にして最大の分かれ目です。
受験生
なるほど……「何が動いたか」で見ればいいんですね。でもそれだけで、資産区分とか利息の話まで全部説明できるんですか?
若葉(IT資格学習中)
はい、できるんです。商品を売った代金(売掛金)は基本的にすぐ回収する前提だから常に流動資産。でもお金を貸す(貸付金)場合は返済期日を自由に決められるので、1年を超える長期の貸し付けも普通にありえる。だから貸付金だけ「1年基準」で流動・固定に分かれるんです(これは2級で詳しく学ぶ話なので、3級の今は「そういう発展知識がある」程度で大丈夫です)。利息も同じ理屈で、商品代金には利息はつきませんが、お金の貸し借りには利息がつくのが自然ですよね。発生原因という1つの根っこから、全部の違いが枝分かれしていくイメージです。
❓ 発生原因の違い——「商品を売ったか」「お金を貸したか」
売掛金と貸付金はどちらも貸借対照表上は「資産」に分類されますが、発生した理由がまったく異なります。この1点を押さえるだけで、他のすべての違いが理解できます。
商品・サービスを売った
売掛金(うりかけきん)
→ 掛け売りの未収代金(資産)
商品やサービスを「掛け」で販売した際に発生する、まだ受け取っていない代金。
お金そのものを貸した
貸付金(かしつけきん)
→ 金銭消費貸借の返還請求権(資産)
取引先や役員・従業員に現金や預金を貸し付けた際に発生する、返済してもらう権利。
📝 ① 売掛金が発生するときの仕訳——商品・サービスの掛け売り
例題
A社に商品 ¥50,000 を売り上げ、代金は掛けとした。
A社への売上時の仕訳
売掛金50,000/売上50,000
ポイント:貸方に必ず「売上」が来る
売掛金が発生する仕訳の相手科目は、必ず収益科目の「売上」です。これは売掛金が商品売買から生まれる証拠でもあります。
💰 ② 貸付金が発生するときの仕訳——金銭の貸し付け
例題
取引先のB社に現金 ¥100,000 を貸し付けた。
貸付時の仕訳
貸付金100,000/現金100,000
ポイント:貸方に収益科目は出てこない
貸付金が発生する仕訳の相手科目は、現金や当座預金などの資産科目です。お金がお金のまま形を変えただけなので、売上のような収益は一切発生しません。
📅 ③ 資産区分の違い——貸付金だけが「1年基準」で流動・固定に分かれる2級の発展知識
この章は簿記3級の出題範囲外です:3級では「貸付金」は常に1つの勘定科目として扱われ、長期・短期を区分する論点は出てきません。「長期貸付金」への区分は簿記2級以降で学ぶ発展知識ですが、貸付金の性質をより深く理解できる内容なので紹介します。3級の学習中は読み飛ばしてもらって問題ありません。
売掛金は営業活動の中で短期間に回収される前提のため、常に流動資産です。一方、貸付金は返済期日を自由に設定できるため、決算日の翌日から1年以内に返済されるかどうかで区分が変わります(2級で学習する内容)。
| 勘定科目 | 返済・回収の目安 | 貸借対照表の区分 |
| 売掛金 | 常に短期(営業サイクル内) | 流動資産 |
| 貸付金 | 決算日の翌日から1年以内 | 流動資産 |
| 長期貸付金 | 決算日の翌日から1年を超える | 固定資産 |
例題(2級レベル)
決算日(3月31日)現在、C社への貸付金 ¥200,000 は全額、返済期日が翌年6月末(決算日の翌日から1年超)である。
決算整理仕訳(貸付金→長期貸付金への振り替え)
長期貸付金200,000/貸付金200,000
「1年基準(ワン・イヤー・ルール)」とは
決算日の翌日から数えて1年以内に回収・返済されるものを流動資産・流動負債、1年を超えるものを固定資産・固定負債とするルールです。売掛金は性質上ほぼ短期で回収されるため、この判定が問題になることはほとんどありません。貸付金は期間を自由に設定できるからこそ、この判定が必要になります。
💴 ④ 利息の有無——貸付金には受取利息が発生することが多い
売掛金は商品代金そのものなので、原則として利息は発生しません。一方、貸付金はお金を貸した対価として受取利息(収益)を受け取ることが多くあります。
利息を現金で受け取ったときの仕訳
現金1,500/受取利息1,500
利息の計算式:元金 × 年利率 × 月数 ÷ 12
例)元金100,000円・年利3%・貸付期間6ヶ月 → 100,000 × 3% × 6/12 = 1,500円
年利率をそのまま掛けず「×月数/12」を忘れずに計算しましょう。
🔍 ⑤ 貸倒引当金の対象になるか——どちらも対象だが区分が異なる
売掛金・貸付金はどちらも回収できなくなるリスクがあるため、貸倒引当金の設定対象になります。ただし試験では扱いが分かれる点に注意が必要です。
| 用語 | 含まれるもの |
| 売上債権 | 売掛金+受取手形(+クレジット売掛金) |
| 金銭債権 | 貸付金・長期貸付金・未収入金なども含む広い括り |
問題文で「売上債権に対して貸倒引当金を設定する」とあれば
売掛金と受取手形のみが対象で、貸付金は含まれません。逆に「金銭債権全体に設定する」といった指示があれば貸付金も対象に含まれます。問題文の指示範囲を必ず確認しましょう。
🧭 ⑥ 迷ったときの見分け方——問題文のこの言葉を探す
実際の試験問題では、発生原因を示すキーワードが必ず問題文に書かれています。以下の言葉を手がかりにしましょう。
| 問題文の表現 | 使う勘定科目 |
| 「商品を売り上げ」「サービスを提供し」「代金は掛け」 | 売掛金 |
| 「資金を貸し付けた」「金銭を貸与した」「借用証書と引き換えに」 | 貸付金 |
役員・従業員への貸し付けは専用の勘定科目に
相手が自社の役員や従業員の場合は「役員貸付金」「従業員貸付金」という専用の勘定科目を使います。財務諸表での開示上、通常の貸付金と区別するためのルールです。
⚔ Study Quest で学習を記録しよう
簿記3級の学習時間をRPG感覚で記録。試験日までの学習ペースをリアルタイムで確認できます。
無料で始める →
📋 まとめ:貸付金 vs 売掛金 早見表
発生原因売掛金=商品・サービスの掛け売り/貸付金=金銭の貸し付け
貸方の相手科目売掛金=売上(収益)/貸付金=現金・当座預金(資産)
資産区分売掛金=常に流動資産/貸付金=1年超で長期貸付金(固定資産・2級知識)
利息売掛金=原則なし/貸付金=受取利息が発生することが多い
貸倒引当金売掛金=売上債権として対象/貸付金=金銭債権として対象(別区分)